ヨーロピアン・ジャズ・トリオでお馴染みなオランダの人気ピアニスト:マーク・ヴァン・ローンの快作。アムステルダム録音。編成はトリオを中心に4曲ではtpも加わる。しっとりとした繊細端麗なロマンティシズムを基調としながら、鋭敏なグルーヴ感や意表的スリルもキッチリ備わった、ヨーロピアン耽美派の正統らしいドラマティックな快演が滑らかに展開される充実内容である。インタープレイの要素も多々加味された、フレキシビリティ抜群のビート・スタイル&グループ・フォーメーション(形状パターンや緩急の加減は曲・場面によって様々)のもと、端正でいてキレとメリハリのある中々小気味よい邁進が続き、主役pの、甘美なエレガンスとメランコリックな詩情に溢れたニュアンスの細かいメロディアス・プレイが、優しくも一定の緊張感を保った瑞々しい映えを示してゆく。トリオでの、浮遊感を濃く漂わせながらのファンタジックかつサスペンスフルな唯美的・内省的バラード妙演と、4tetでの、力強く凛々しげに哀愁を歌い上げるtp者のやや荒削りなブロウ以下、全者一丸となった豪快な威勢あるリズミカル熱演(または半アブストラクトな息詰まる真剣インプロヴィゼーション対決)、のコントラスト具合も印象的に、EJTとは一味も二味も異なった突っ込みの深い入魂アプローチの連続で、新鮮な感動の絶えない多彩で濃密な独自のリリシズム世界をじっくりと描き出した、歯応え充分の逸編。
Cinema Paradiso,Cherokee,Everything I Love,Lady Madonna,Happy Days Are Here Again他全11曲収録
Marc Van Roon(p)Tony Overwater(b)Wim Kegel(ds)Eric Vloeimans(tp on 4tunes)
在庫有り