CATFISH RECORDS

オランダBlue Jack Jazzの好評・未発表音源発掘企画「Forgotten Tapes!」シリーズの1枚。白人バップ・トランぺットの草分けレッド・ロドニー(1927年ペンシルヴァニア州フィラデルフィア生まれ、1994年フロリダ州ボイトン・ビーチで死去)が、ラジオ・プロデューサーらの招きで1975年1月オランダを訪れ、コンポーザー&アレンジャーとしても著名な当地を代表するアルト&クラのベテラン名手Herman Schoonderwalt(1931年オランダ南部のEindhoven生まれ、1997年死去)+リズム隊と組んで、Larenので行なったコンサートの模様を収めたラジオ放送用の実況音源の初ディスク化。各人が伸び伸びと楽しげに個性を揮うソロ・リレーの盛況に見せ場のポイントを絞った、シンプルなジャム・セッション形式の抒情派ハード・バップ演奏が続いて行く、和気あいあいの爽快内容。オープンとミュートを巧く使い分け、フリューゲルも活用して語り口に大きく幅を持たせながら、やや豪胆でラフな、がそれゆえに強烈な勢い=推進力を呈したダイナミックな劇的文脈を踏破してゆくロドニーの、さすが磨き抜かれた生粋のバップ・インプロヴァイザーぶりが絶好調。その一方、パーカーの流れを汲むオーソドックスなバップ・アルト語法とレスター的スムース感を加味したクールな耽美的フレージングを適宜織り混ぜ、またclに持ち替えての知的モダニズム溢れる端麗な遊泳的吹奏も魅力たっぷりに際立ったas者の、構成力に秀でた中々手堅い様式的立ち居振る舞いが(ロドニーの荒削りでスリリングな驀進と好対照を成して)颯爽たる拮抗を見せており、更に、緩急のバランス感覚絶妙なp者の締まりある躍動的プレイ(ビターなパーカッシヴ・アクションとかも)が場面に応じて切り口を違えた的確な彩りを成して、結果、音空間はドラマツルギーと色彩感に富んだ、すこぶる美味豊穣な仕上がりとなっている。ラストでのロドニーの渋いヴォーカルも好印象を残す、フレンドリーな温もりと闊達さが何より好もしい良質の寛ぎ作品。b&dsの驚異的に弾みのいいバウンド振動的なスイング感演出も出色。

On Green Dolphin Street,
Lover Man,
I Can't Get Started,
Scrapple From The Apple
他全6曲収録

Red Rodney(tp,flh,vo)Herman Schoonderwalt(as,cl)Nico Bunink(p)Wim Essed(b)Peter Ypma(ds)

在庫有り