イタリア-カタニアでの活動を経てオランダへ移り、アムステルダム音楽院でジェシ・ヴァン・ルーラーらに師事、現在もアムステルダムを拠点に活動しているらしいイタリア人ギタリスト:Sandro Fazio(フランス生まれのイタリア-シチリア育ち)の一編。2006年2月アムステルダム録音。編成は4管&ピアノ入りのオクテットが基本。曲はオリジナル中心。思索的ミステリアスさやクールネス、或いは夜景スケッチめいたダーク&サスペンスフルな風合い、を根底に有した、即ち、イマドキな新主流派モーダル路線の典型然たる文法に則っての、翳り濃いビタースウィート風味の抒情的コンポジション演奏が中々スリリングに展開してゆく好投編である。リズム形式やテンポには細かく多様な変化がつけられて劇的メリハリ感も十全に齎される他、先ずはコンポジション指向らしく大枠の構成やアレンジ設計がキッチリと造形されつつ、ソロ・パートでのエネルギッシュ&アグレッシヴな生々しい盛り上がり、にもちゃんと本腰で力点の置かれた、バランス感覚絶妙な結構密度の濃い今風リリカル熱演がイキイキと、歯切れよく続き、何げに折り目正しく整ったクール&カラフルな唯美的アンサンブル音響や、曲想に即しながらも自在な遠心力を発揮してゆく各人の個性的ソロ奮戦、が次から次へと(ハイペースで)色彩鮮やかに座を賑わせて、飽きさせない。ギター者の、ロック(またはフォーク?)・フィーリングに根ざしたワイルドさやブルージーさを身上とする、硬軟併せ持ったコンテンポラリー肌のノワールな哀愁プレイや、ゲッツ的な流線美や清涼感をもチラつかせる端麗テナー、カッチリ堅く鋭角に引き締まった謹厳職人風の正統的バピッシュ・ピアノ、など、おいしい個人プレーの名場面は多数。
1.Ostinato
2.Little Disappointed
3.Come To Me
4.Vallee Et Riz
5.The Birth
6.H.C.
7.No Surprises
8.Hundred Years Of Solitude
Sandro Fazio(elg)
Philipp Staudt(flh)
Dominique Brackeva(tb)
Tineke Postma(ss,as)
Francesco Bearzatti(ts)
Charly Zastrau(p)
Konstantin Uhrmeister(b)
Andreas Pichier(ds)
2006年2月1、2日オランダ-アムステルダム録音
在庫切れ
デジパック仕様CD