★札幌を中心に地道な演奏活動を続け、また寡作ではあったが味のあるアルバム群を残したモダン・ピアノの逸材:福居良(1948年北海道沙流郡平取町生まれ、2016年死去)の、本盤は、坂井紅介(b)&江藤良人(ds)という実力者二人を迎えた緊密トリオによる、自身がそのオーナーであり活動拠点でもあった札幌のライブハウス「スローボート」に於ける2004年6月26日の公演(1995年にオープンしたSlowboatの9周年記念であったという)の模様を捉えた、未発表ライヴ音源の初ディスク化=限定生産のアナログLP2枚組。
★歯切れよく鋭角的でありながら豊かな潤いや光沢感も湛え、彫りの深い陰影美を呈したストーン・タッチのピアノが、殺陣の型っぽい渋めのバップ・イディオム奏法を根幹とし、そこへ明るく小粋な歌謡テイストも多分に加えてゆく、至って分かりやすく親しみやすい人情味満点のリリカル・アクション・プレイを溌溂と、そしてスッキリとシンプル・ストレートに綴って中々コク深い魅力を放ち、一方、ドッシリ構えて律動しつつ並行して縦横無尽に遊撃を掛けてくるドラム&ベースの瞬発力抜群の活躍もノリとスリルを的確に高めきった、全編オーソドックスなバップ系ピアノ・トリオの本道ド真ん中を迷いなく突き進む好演が続いて、壮快にノセられ、また芳醇な旨味を満喫できる会心打内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り、衒いやケレンを排して直球勝負に徹した、ブルース・フィーリングも潤沢に備える単純明快娯楽活劇の鑑たるイキのいい晴朗バップ大会、が嬉々として愉しげに、ダイナミック・グルーヴィーに展開してゆき、ウォームにウネり跳ねる坂井(b)やキレ味シャープでパンチの利いた江藤(ds)らの結構アタッキングなサポートに上手く触発される恰好で、福居(p)の、確固としてブレるところなく骨芯の据わったアドリブ奮戦=鍛え抜かれた熟練の語り口が、何とも風流に、ちょっと燻し銀っぽくもある冴えを見せてゴキゲンだ。
→さすがはバリー・ハリス直伝だけのことはあり、侘び寂感あるシブ〜いバップ・スタイルを変らず基調としていて、力学的立ち回りワザ〜ダイナミズム攻勢の連続で強固堅牢なるスクエアー・グルーヴと雄渾の昂揚感を齎す、そのいい意味で融通の利かなそうな頑固一徹名人芸のキレは格別で、時折転回として挿入されるイキでイナセなファンキー節の軽み的「味」も好もしく、一貫してモード色は殆ど感じさせない(例外的にショーター曲"Juju"では若干モード風の語法も垣間見せるが)ひたすら"バップ命"のスパッとよく切れる芸風のあり様には、清々しく胸躍り心洗われる思い(カタルシス覿面!)。
Side A:
1. Eclypso (Tommy Flanagan)
2. Relaxin' At Camarillo (Charlie Parker)
Side B:
1. Come Sunday (Duke Ellington)
2. He's A Real Gone Guy (Nellie Lutcher)
Side C:
1. Stella By Starlight (Victor Young)
Side D:
1. Juju (Wayne Shorter)
2. Harlem Blues (Phineas Newborn Jr.)
福居 良 (piano)
坂井 紅介 (bass)
江藤 良人 (drums)
2004年6月26日札幌Slowboatでのライヴ録音
レーベル:
HMV record shop (ローソンエンタテインメント)
御予約商品
2025年6月4日発売予定 受注締切:2025年3月27日
国内制作・限定生産2枚組LP