CATFISH RECORDS

★過去、アルバムも幾つか(自身主宰のSasage Recordsからのコンピレーション企画盤の2連作とか)発表し、近年は首都圏シーンで精力的にライヴ活動を行なっている、百戦練磨の中堅テナーサックス実力者：森田修史(1977年東京都生まれ)の、最新アルバムとなる今作は、メンバーは次々入れ代わるも一貫して"ワンホーン・カルテット"を通した(1曲のみ女性ヴォーカル加わる)自作曲集。

★堅固でいて弾性ある団子風トーンのテナーが、パンチを利かせてハード・ドライヴィングにアタックを掛けてくるダイナミック咆哮を繰り出して中々コクのあるテイスティー・グルーヴィーな魅力を放ち、ソリッドにしてクール・ポエティックなピアノ他、リズム・セクションの安定してよくスイングする的確なバックアップも鮮やかにツボにハマりきった、全体を通じ現代のワンホーン・ハード・バップの鑑とも云うべき真っ向勝負の快進撃が続いて、スカッと胸躍らせてくれる好投内容。

★哀愁とガッツを秘めた明朗な歌心、精細精悍に律動するスイング感、伝統的なブルース&バップのフィーリング、以上を確たる柱とした、剛健で晴れやかなとことん分かりやすい娯楽活劇指向の邁進が、嬉々溌溂と鮮度抜群に展開してゆき、リズム隊の安定感と機動性や遊撃力を兼備した起爆的立ち回りに上手くプッシュされ、触発される恰好で、森田(ts)の、腰を据えて清やかに燃えるアドリブ奮戦が実にイキイキと歯切れよく見せ場を飾ってゴキゲンだ。

→吹き抜ける青嵐のような威勢のよさやおおらかさ・豪快さと、優しい温もりや豊かな包容力を併せ持った、ハード・バップ・テナーの本道ド真ん中をまっしぐらに突き進む一切迷いのないその闊達げメロディック・ブローイングは、誠に爽やかな昂揚感と十全に吟醸された旨味を齎し、アクション面でのわりかし武骨で質実な味わいと、バラードや寛ぎ路線における繊細で柔和なニュアンスに富むロマンティスト体質やそのセンスのよさ、の落差〜振り幅の大きさ・滑脱自在さが雄渾のスケールにも繋がっている、という、そうした頼もしい花形ヒーロー然とした吹鳴のあり様は殊の外芳醇で説得力も絶大。

★力学面・抒情面ともにハンコック的オーソドキシーをほぼ貫いた魚返(p)の抑え役ぶりや、9曲目に登場して華と色香をフレッシュに振りまく野村(vo)の軽やかな舞い、といった辺りも好インパクト。

01. とまらない夜
02. Anticipation
03. Hugh's Sketchbook
04. Into The Forest
05. Judgement
06. アサギマダラ
07. Losstime
08. まだ降らない
09. そこから先の話
10. See You On The Other Side
11. 中央高速アイスバーン
12. 2003年のバラード (CD版のみのボーナストラック)

森田 修史 (tenor saxophone)
魚返 明未 (piano on 01, 02, 03, 04, 05, 06, 11)
小沢 咲希 (piano on 07, 08, 12)
吉澤 はじめ (piano on 09, 10)
岩見 継吾 (bass on 01, 03, 05, 11) (01と11は微妙にelectric bass寄りっぽく聞こえる箇所も一部あるが正確なところは不明)
高橋 陸 (bass on 02, 04, 06)
冨樫 マコト (electric bass on 07) (bass on 12)
水谷 浩章 (bass on 08, 09, 10)
小松 伸之 (drums on 01, 03, 05, 11)
中村 海斗 (drums on 02, 04, 06, 07, 08, 09, 10, 12)
野村 美空 (vocal on 09)

2023年8月東京・ReBorn Wood Studio(東京都板橋区本町)録音
2024年日本作品

レーベル：Owl Wing Record

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国内制作デジパック仕様CD