CATFISH RECORDS

★以前マッシミリアーノ・ロルフ(b)のChallenge作品に主役級で名を連ねたりもしていた、イタリアの若手ピアニスト：トンマーゾ・ペラッツォ(1996年イタリアのヴァレーゼ県生まれ)の、本盤はアメリカン・ベースの大御所バスター・ウィリアムズを迎えたピアノ・トリオによる米NYCブルックリンで吹き込まれた最新アルバム。

★肉太く歪みを利かせながらウネりにウネる重厚ベースの唸り鳴動も絶えず圧倒的存在感を放つ中で、歯切れよい硬質鋭角さと折り目正しい端麗美(作法美?)を併せ持ったきめ細かなクリアー・タッチのピアノが、ヨーロピアンらしいロマネスクな詩的抒情性、バップ・ピアノならではのダイナミズム、ファンキー系統のブルース・フレイヴァー、以上をバランスよく掛け合わせた力は常に八分目以下のゆとり&気品あるメロディック・プレイを綴ってどこまでもスマートな華を成し、精巧なシャープネスと体当たり的ワイド・アタック力を兼ね備えたドラムの機動ぶりもグルーヴィー&スリリングに際立った、そして何より随所で主役の座を脅かすベースの巧まざる侵攻がまた頼もしく光る、全体を通じピアノとベースのシーソー・ゲーム的鬩ぎ合い(並びにインティメイトな協調)を含むアウトラインとしては至ってオーソドックスなリリカル指向の快演が続いて、爽やかさ(ピアノ)とコク深さ(ベース)混在の音世界をノリよく愉しませる中々軽妙な好投内容。

★旋律&和声の美しさやポエティシズムと安定律動的グルーヴ感を先ずはともかく重んじ、ブルース・フィーリングやバップ&モード由来のアクション意匠も過不足なく自然に有した、加えてヨーロッパ特有の香り高い浪漫+エレガンスも適度に仄めく、ひたすら親しみやすく分かりやすい抒情派娯楽路線の鑑たるスインギー妙演が滑脱に展開してゆき、ウィリアムズ(b)の只普通にバッキングしていても超芳醇に目立ってしまうこってり濃い活躍も好もしい懐広さ・雄渾さを発揮しているが、ひとまずはペラッツォ(p)を主役とした情緒型ピアノ・トリオの王道たる行き方が進められて、ペラッツォの均整のとれたアドリブ技が何とも清々しい格調ある冴えを、フレッシュ映えを見せていて絶品だ。

→エヴァンスをユーロ化したような詩情溢れるクール&デリケートな優しいフレージングや、マッコイorハンコックの熱を除き線を細めてソフトにした感じの半力学的アクション、更に遡って純バップ派やファンキー派に接近した殺陣風のダイナミック節もしくはR&Bっぽいダウン・トゥ・アースなグルーヴ文体など、程好く振り幅の大きさを示しながら一貫してジェントル&ソフィスティケートなセンスのいい洗練さ〜こざっぱり感を決して失わない、ワンポイントの余裕と瑞々しい"薫り"を保った軽みある弾鳴のあり様はとことん耳に心地よく説得力も十二分。

1. Back At The Right Spot! (T. Perazzo) 4:28
2. Alba Sul Mare (T. Perazzo) 4:30
3. Kind Of Blues (M. Cardillo) 3:50
4. Christina (B. Williams) 5:36
5. Where Giants Dwell (B. Williams) 5:40
6. Footprints (W. Shorter) 7:15
7. Soul Leo (M. Miller) 5:53
8. Ricordi (T. Perazzo) 5:20

Tommaso Perazzo (piano)
Buster Williams (bass)
Marcello Cardillo (drums)

2023年6月14日米NYCブルックリンのThe Steiner Studios録音
2025年イタリア作品

レーベル：Red

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