CATFISH RECORDS

★新主流派ジャズの要人からブラック・フリーの最尖端ランナーへと推移していった独創的鬼才であり、音楽教職者としても活躍した、オールラウンドにして急進的なジャズ・トロンボーンの第一人者：グレイシャン・モンカー3世(1937年米ニューヨーク生まれ、2022年死去)の、本盤は、ロスコー・ミッチェル(as,fl)、デイヴ・バレル(p)、アラン・シルヴァ(b)、アンドリュー・シリル(ds)という猛者揃いのクインテット(ラスト1曲のみ更にアーチー・シェップ-tsが加わる)を率いての(この当時モンカーはA・シェップのバンドに在籍していた)、標題の壮大な組曲を始めとする雄渾の熱演が聴かれる、1969年8月11日フランス-パリで吹き込まれたBYG Actuel原盤の傑作の世界初CD化。

★ジワリジワリと徐々に煮えたぎってゆく感じなリズム・セクションの落ち着いた中に灼熱のエモーションを秘めた力強い鳴動に導かれて、ガサガサしたちょっと荒削りっぽい風合いとスモーキーな陰影を呈する音色のトロンボーンが、ダウン・トゥ・アースなブルース由来の濃い吟醸味ならびにブラック・スピリチュアリティ溢れるメランコリック・プレイを幾分けだるくレイジー・デカダンに綴って、コク深くも独特の脱力感漂う渋〜い魅力を放ち、ヒネりを利かせて鋭くパッションを映すアルトや、クッキリした輪郭のソリッド・タッチで粛々とブルージーに唸りを上げるピアノ、らの活躍も骨芯の通った揺るぎない妙味を揮った、全体を通じモーダル・バップ色も自ずと含むもののどちらかと云うと"ブラック・スピリチュアル・ジャズ"の趣の強い情念渦巻く熱演が続いて、テイスティーでいて妖しい昂揚感を満喫させてくれる魂のこもった敢闘内容。

★漆黒のソウル・フィーリングと情魂味にこってりと貫かれた1960年代末期ならではの生々しい切迫感が伝播してくるモーダル・エネルギッシュ奏演が、腰を据えてヘヴィー・ストロングに展開され、スピリチュアル路線とは云っても難解さはなく、フリー寄りの局面もあることはあるが分かりやすい「活劇アクション」の範疇に踏みとどまったスカッと壮快な奮戦が連続して、バレル(p)&シルヴァ(b)&シリル(ds)の中々猛烈にスイングしまくる基底グルーヴ演出も奏効、ひたすらノリよく大いに愉しませる。

★モンカー(tb)の、幾らかアブストラクトに烈しく立ち回るところも一部あるもののその本領は黒人ブルースマンたるアーシー&ソウルフルな旨口節の歌いっぷりにこそ遺憾なく発揮されており、その芳醇で重みがありそれでいてどこか飄々とした軽みをも垣間見せる吹鳴のあり様は何げに風流の極み。一方、隙あらばトータル・サウンドをフリー方向へ旋回させんするミッチェル(as,fl)や、ラストに登場してフリーキー・トーンの絶叫ぶりで容赦なく暴れ倒すシェップ(ts)、らのゲリラ攻勢もインパクト強烈に際立つが、しかしモンカー(tb)のプレイは彼らに引っ張られることなくマイペースを保って涼しい顔、といった辺りがまた楽しい興趣処。

1. New Africa ニュー・アフリカ
　I) 1st Movement: Queen Tamam
　II) 2nd Movement: New Africa
　III) 3rd Movement: Black Call
　IV) 4th Movement: Ethiopian Market
2. Space Spy スペース・スパイ
3. Exploration エクスプロレーション
4. When ホエン
＊all compositions by G. Moncur

Grachan Moncur III グレイシャン・モンカー3世 (trombone)
Roscoe Mitchell ロスコー・ミッチェル (alto saxophone) (piccolo flute on 1)
Dave Burrell デイヴ・バレル (piano)
Alan Silva アラン・シルヴァ (bass)
Andrew Cyrille アンドリュー・シリル (drums)
Archie Shepp アーチー・シェップ (tenor saxophone on 4)

1969年8月11日フランス-パリ録音

レーベル：BYG Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe)

★2024年最新デジタル・リマスタリング
★オリジナル・ジャケット使用
★新規解説付

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2025年3月26日発売予定 受注締切：2025年2月9日
国内盤CD