★近年も依然意気軒昂にラジカルな音楽探究を続けている、ドイツ進歩派ピアノの急先鋒:ヨアヒム・キューン(1944年ドイツのライプツィヒ生まれ)の、本盤は、その後長く組むことになるジャン=フランソワ・ジェニー=クラーク(b他)並びにアルド・ロマーノ(ds他)との強力トリオによる、1969年1月旧西独ハンブルクのスタジオで吹き込まれたBYG原盤の傑作の、世界初CD化。
★キレのある鋭角的強堅ソリッド・タッチでスピリチュアルなモード・カラーをほとばしらせたり、打楽器傾向を濃くしてアブストラクトなダイナミズム攻勢を掛けてきたり、一転、R&Bグルーヴ調のスタイルで哀愁とパッション溢れるメロディック・アクションをキメたりと、奔放自在に跳ね回るピアノが精悍軒昂この上なしの荒々しくも鮮烈な華を成し、強力にバネを利かせてウネり撥ねるベースや、過激なフリー派になりきったフリーキー・トーン交じりのアルトサックス咆哮、ドシャバシャと賑々しくワイルドに体当たり的アタックをカマしてくる雷神の如きドラム、らも各々こってり濃厚な彩りを加えた、全体を通じ60年代末期のアコースティック・ジャズならではのある種の混沌を含んだ切迫感ある大熱演が続いて、問答無用に昂揚させられるカタルシス効果も抜群の壮快内容。
★モード系のバピッシュ・ジャズやキューン一流のロマネスクなリリシズム路線、ジャズ・ロックorファンク寄りのリズミカルなグルーヴ趣向、そしてアナーキーなフリー・ジャズ、などがゴッタ煮になった感じののっぴきならぬ気魄(=凄味〜鬼気)みなぎった完全燃焼の力投が中々狂おしげに展開してゆき、キューンがサックスを吹きバンブー・フルートや叫びのヴォイス、ジェニー=クラークの異形の弓弾きが絡み合う辺りのフリー派絨毯爆撃〜その徹底した暴れ倒し様に圧倒される反面、リリカル指向のトラックにおける端麗美やエレガンスがまた格別だったりと、起伏の烈しい道程を瑞々しい感動をもってみっちり愉しませてくれる。
★キューン(p)の、繊細にして力強くエモーショナルな詩的ロマンティシズム表現と硬質で容赦ない抽象性全開の爆裂パーカッシヴ大立ち回り攻撃の間を烈しく往来する執拗なまでの急転ワザ、=激変しまくる語り口が奮いに奮っていてとりわけ圧巻だが、その一方、ブルース・テイストの強いR&B的なアプローチにあっては結構ファンキー体質の吟醸ソウルフル節の歌いっぷりに粋な新味があったりと、興奮&驚きの絶えない縦横無尽の活躍が理屈抜きで卓越している。降参。
1. シャドウズ・ホエアエヴァー・ウィ・ターン Shadows, Where Ever We Turn
2. スキャンダル Scandal
3. ウェスター・ミーニング Wester Meaning
4. ゲイビー・ラヴ Gaby Love
5. エル・ドラド El Dorado
6. イン・ザ・ミドル・オブ・ザ・ウェイ In The Middle Of The Way
7. ウェルカム Wellcome
ヨアヒム・キューン Joachim Kühn (piano, alto saxophone, shenai, flute, tambourine, bell)
ジャン=フランソワ・ジェニー=クラーク Jean-François Jenny-Clark (bass, flute, bell)
アルド・ロマーノ Aldo Romano (drums, flute, tambourine, bell)
1969年1月25日 旧西ドイツ-ハンブルクのStudio der Windrose録音
レーベル:
Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) BYG
★2024年最新デジタル・リマスタリング
★オリジナル・ジャケット使用
★新規解説付
在庫有り
国内盤CD
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