★ウィーンに本拠を置きながら1940年代後期よりクラシックの天才ピアニストとしてグローバルに活躍、1950年代初期に公演のため来訪していたアメリカでジャズの生演奏を聴いて感銘を受け、自己のコンボを結成してジャズ界でも活動を開始、NYバードランドへの出演、MJQとの共演、ニューポート・ジャズ祭出演、などで好評を博し、以来ジャズ・ピアニスト(ジャズ系コンポーザー)(バリトンサックス奏者でもある)とクラシックのコンサート・ピアニストを兼ねて精力的に活動を続け、フリー派やコンテンポラリー系など幅広い人脈と交流しながら数多くの意欲的レコーディングを残した名匠:フリードリヒ・グルダ(1930年オーストリアのウィーン生まれ、2000年同国西部のワイセンバックで死去)の、本盤は、女性ドラマー:ウルスラ・アンダースとのコンビネーションを核としながら、セシル・テイラー(p)、ジョン・サーマン(ss,bs)、アルバート・マンゲルスドルフ(tb)、バール・フィリップス(b)、ステュ・マーティン(ds)といったフリー畑で名を馳せる強豪達を迎えた変動的コンボによる、中々ハードなフリー・インプロ熱演が聴かれる1976年8月オーストリア、ザルツブルクのルンガウでのコンサートの模様を収めた、(旧西?)ドイツのBrain原盤の2枚組ライヴ大作の初CD化(CDも2枚組)。
★不穏で怪しくパーカッシヴに蠢きつつジワリと躙り寄ってくるドラムの半ば信号的な轟鳴に導かれて、ギターのように聞こえるノイジーなエレピ?や瞑想風スピリチュアリティを感じさせる囀り鳴くが如きリコーダーが、アブストラクトな中にも微かなグルーヴ感の仄めくトリップ世界をシュールに形作り、かと思えば切実な魂の叫びめいたベースの弓弾き即興が凄味をもって炸裂したり、一転してピアノ2台のダダイスティックな打楽器調不協和音の叩き鳴らし対決がコワモテに展開、そしてまた、ピアノ&ベース&ドラムの奇怪でありつつ旨味やノリのよさをも呈したフリー・バップ的インタープレイの渦中へ電子ノイズや端麗かつ激しくもあるソプラノサックス、不気味さと渋さや温もりを併せ持ったトロンボーンがなだれ込んで来て妖しい夢幻空間が創出されたりと、ひたすらハードコアで妥協なき迫真のインプロヴィゼーションがワイルド&アナーキーに飛び交って超スリリングに昂揚させられる、充実した敢闘内容。
★大凡のところはヨーロッパ系インプロヴァイズド・ミュージックの典型たる硬質で抽象純度の高いリアル即興バトルが、誠に屈強に繰り広げられ、荒々しくもマイペースで真っ向突進を決め込む破壊力抜群のテイラー(p)や、スピード感も満点に空間を転覆させるかのようなアンダース(ds)&マーティン(ds)、異形なアブストラクトさとブルージー・グルーヴィー傾向を兼備したマンゲルスドルフ(tb)&フィリップス(b)&サーマン(ss,bs)、そして真っ当なアコースティック・ピアノとエレクトロニックな雑色的音響の両輪で軒昂に攻勢をかけてくるグルダ(p他)、ら銘々のヤバイくらいに研ぎ澄まされた必殺ワザの数々が殊の外カラフル&濃密に見せ場を繋ぎ、盛り上がりを見せて問答無用っぽく圧倒されまくりだ。
★サーマン(ss,bs)のアツい完全燃焼ブロウが絶頂の極みを示して作品中最もオーソドックスなカタギのジャズっぽい風趣を漂わせるメロディック&スインギーめの場面のあるDisc2-#1並びにDisc2-#2、一人多役(ここでもまたギターもしくはエレキベースに聞こえるノイズ音が登場)のグルダがテイラーとはまた違うクラシック的奏法も応用しての徹底したヒネクレ・センスを嬉々としてフル発揮するアンダース(ds)とのデュオ=Disc2-#3、辺りの後半部の畳み掛ける転回がとりわけインパクト大(Disc1-#2のグルダvsテイラーの2ピアノ・デュオ対決も圧巻だが...)。
Disc 1:
1. Einsamkeiten
a)Ursula Anders
b)Friedrich Gulda
c)Barre Phillips
2. Begegnung auf Moosham
(Friedrich Gulda - Cecil Cecil Taylor)
3. Wechselnde Begegnungen auf Moosham
(Taylor - Phillips -Anders - Gulda) (Surman - Phillips - Gulda - Taylor) (Mangelsdorff - Taylor) (Taylor - Martin)
Disc 2:
1. Mooshamer Begegnungen (Das Gewitter)
(Martin - Mangelsdorff - Phillips - Surman - Gulda - Anders - Taylor - Viele Teilnehmer - Donner - Wind - Regen)
2. Mooshamer Begegnungen (Nach Dem Gewitter)
(Regen - Gulda - Phillips - Surman - Martin)
3. Nachklänge - Rückkehr - Zweisamkeit
(Gulda - Anders)
Friedrich Gulda (piano, electric piano, bass recorder, bongo, percussion, whistle)
Ursula Anders(drums, percussion, whistle, objectsw except Disc1-#2)
Albert Manglesdorff (trombone on Disc1-#3, Disc2-#1)
John Surman (soprano saxophone, baritone saxophone, synthesizer on Disc1-#3, Disc2-#1, Disc2-#2)
Cecil Taylor (piano on Disc1-#2, Disc1-#3, Disc2-#1)
Barre Phillips (double bass on Disc1-#1, Disc1-#3, Disc2-#1, Disc2-#2)
Stu Martin (drums on Disc1-#3, Disc2-#1, Disc2-#2)
1976年8月20-22日オーストリア-ザルツブルク、ルンガウ=LungauのSchloß Moosham(Moosham Castle)でのライヴ録音
レーベル:
Moosicus Made In Germany Music
御予約商品
輸入盤2枚組CD
入荷予定時期:2025年3月上旬 受注締切:2025年1月19日
※発注先案内の入荷時期を記載しておりますが、入荷時期は予告なく変更になる場合もございます。ご了承くださいませ。