★19歳で渡米して以来、NY主流派シーン第一線で活躍、過去20年の間にLineage、Rideau Rouge、Sharp Nine、Jazz Family、Blau Music、Jazz&People、Fresh Sound New Talentから優れたリーダー・アルバムを次々と発表して人気を得てきた、ロシア(旧ソ連)出身のキャリアあるモダン・アルトサックスの実力者:ドミトーリ・バエヴスキー(バイェフスキー?)(1976年旧ソ連のサンクトペテルブルク=旧レニングラード生まれ)の、今回はピーター・バーンスタイン(g)をフィーチュアしたカルテット基本での一編。
★キュッと締まっていながら引き摺るような独特の掠れ感やスモーキーさを垣間見せるところもある、基本は清澄で精悍そうな背筋の伸びた歯切れのいい鮮明トーンのアルトが、バップ・アルトの正統らしいダイナミックでブルース色も濃い哀愁アクション風の敏活滑脱ブロウを軽やかに綴って、小粋で渋く余情にも富んだ中々風流な魅力を揮い、また、キレと潤いが一体化した音色もおいしさ抜群にダウン・トゥ・アースな吟醸ソウル並びに寛ぎムード満点のメロウ・グルーヴィー・プレイで的確なる合いの手を入れるギターの、流麗でいて何げに芸の細かい相棒ぶりも懐の広い妙味を放った、加えてベース&ドラムのノリとスリルのツボをキッチリ押さえた重厚感あるサポートも鉄板たる頼もしいところを見せて、清々しくもコクのある人情娯楽的ハード・バップの王道世界をノリよくウォームに愉しませる快投内容。
★唄心、スイング感、ブルース・フィーリング、バップ・スピリットを徹底重視した、明快で親しみやすくもちょっと燻し銀的な侘び寂感・煤け感の仄めく含蓄あるメロディック・バピッシュ奏演が、溌溂さと粛然さの入り混じった調子で確固と推し進められてゆき、ひたすら摑みのいいシンプル・ストレート&デリシャスな道程が続く中で、ブルース&バップの権化然としたバーンスタイン(g)の超芳醇な活躍もこってり際立つ一方、これに一歩も引けをとらず堂々と拮抗して主役の座を結構軽々と守りきるバエヴスキー(as)のアドリブ奮戦が、吹き抜ける青嵐の如く爽やかで瀟洒味溢れる冴えを示して全くゴキゲンだ。
→チャーリー・パーカーを出発点とするバップの基本スタイルを現代流に再創造したとでも云えそうな、マクリーンやウッズ辺りとは趣を異としキャノンボールからアクを抜いたようでもあるその、ひたすらソウルフルに歌いに歌う晴れ晴れとしたマイルド・テイスティーな吹鳴のあり様は、時折テナーと聞き違えるほど重低音の効いたサウンドそのものの安定感(バラード等のスローリーな場面ではベン・ウェブスターやレスター・ヤングの奏法をアルト向けに応用した風なアプローチも垣間見せる)とも相まって、滅法イナセでハートウォーミングこの上ないアジな本領を発揮しており卓抜で、かたやバーンスタイン(g)の、マイペースを保ちつつバエヴスキーを細かに盛り立てることも決して忘れない、どこまでもアーシー・ブルージーでテンダネスとリラクゼーションに満ちた醸熟の旨口節がまた、さすが幽玄深く豊作ぶりを見せていて素晴らしい。
01. Out Of The Past 5:33 (as & g duo)
02. Matador 4:16
03. Gloomy Sunday 5:50
04. Mount Harissa 5:21
05. Roller Coaster 6:50
06. The Sun Died 5:39
07. A Sentimental Blues 5:34
08. Will You Still Be Mine? 6:41
09. Eclypso 6:26
10. Would You? 4:20
11. Autumn Nocturne 4:29 (as & g duo)
Dmitry Baevsky (alto saxophone)
Peter Bernstein (guitar)
David Wong (bass except 01,11)
Jason Brown (drums except 01,11)
2024年1月10日米ニュージャージー州パラマスのTrading 8s Studio録音
2025年スペイン作品
レーベル:
Fresh Sound New Talent
在庫有り
デジパック仕様CD
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