CATFISH RECORDS

★国立音楽大学ジャズ専修で小曽根真や塩谷哲に師事し、同大卒業後は米ボストンのバークリー音大へ留学、2020年にバークリーを首席で卒業し、その後帰国して東京近郊での演奏活動を本格化、作編曲にも高い評価を得つつ、その間にベーシストの小玉勇気と"Yoko & Yuki Duo Project"名義でアルバム「The Moment」を発表(2020年)していた、コンポーザー＆アレンジャー肌なモダン・ピアノの才媛：鈴木瑶子(横浜市出身)の、自己単独名義としてはこれが初となる自作曲メインのデビュー・アルバム。編成は2サックス(アルトとテナー)入りクインテットが基本(サックス抜きのピアノ・トリオ演奏も1曲ある)。

★端正さと豪胆さが表裏を成しているようでありながら筆運びはあくまで精緻な、小石を転がすが如き鋭角性ある強堅クリアー・タッチのピアノが、熱気を孕んだモーダル・ダイナミックな押せ押せの突進アクションと軽妙小粋なファンキー節もしくは優美ロマンティック節を微細に掛け合わせつつ流麗に歩を進める、一貫してメロディーを大切にした躍動感溢れるリリカル・プレイを綴って中々洒脱な華を成し、アンサンブル主体でやや控えめに絡んでくるサックス陣や、こってり濃い存在感をもってウネりと摩擦力の利いた強靭なドライヴを見せるベース、シャープかつ機略縦横に遊撃アタックをかけてくるドラム、らの活躍も各々スリリングでいてハマるべきツボへピタリとハマッて魅力充分に彩りを添えた、全体を通じ抒情派寄りハード・バップの正統らしい晴朗でエンターテイニングな行き方が続いて、スッキリと爽やかに愉しませる会心打内容。

★親しみやすく美味しさに満ちた旋律や和声の端麗さと安定律動的ノリのよさを何より重んじ、空間には絶えずインティメイトな和気や温もり、一定のリラクゼーションが流れる、居心地のいいラウンジで休憩する気分の詩情豊かなマイルド・メロディック奏演が溌溂と楽しそうに展開してゆき、何げに芸の細かい小美濃(b)&北沢(ds)コンビの精妙バックアップにガッチリ支えられ、プッシュされながら、鈴木(p)の、腰を据えて伸び伸びと哀歓を歌い上げるアドリブ妙技が清々しく冴え渡って快調だ。

→バップやモードの伝統的イディオムを消化した上での結構ダウン・トゥ・アースな吟醸ソウル色を多分に含んだゴスペルやR&Bとかにも底通する牧歌調節回し、に独自の真価を発揮して見せるイキで瀟洒なその唄いっぷりは鮮麗そのもので、またソロの出番は少ないものの中林(as)のファンキー&アーシーな熱血ブロウや、芹澤(ts)の余裕を絶やさぬウォーム・スムースな懐深い芳醇ドライヴィング吹奏、といった辺りも上手く好アクセントを成している。

1. Seek
2. Tricolored Bubbles
3. Kukulkan
4. Monochrome
5. Apricot Jam (p-b-ds trio)
6. Old Pal
7. TOWARDS
8. Paths Intertwined
＊all songs composed by Yoko Suzuki
(except #3 is composed by Yuta Omino / arranged by Yoko Suzuki)

鈴木 瑶子 Yoko Suzuki (piano, composition, produce)
小美濃 悠太 Yuta Omino (double bass)
北沢 大樹 Hiroki Kitazawa (drums)
中林 俊也 Shunya Nakabayashi (alto saxophone on 1-3,6-8) (soprano saxophone on 4)
芹澤 朋 Tomo Serizawa (tenor saxophone on 1-4,6-8)

2024年8月21-23日TAGO STUDIO TAKASAKI(群馬県高崎市あら町),
2024年9月17日VoltaStudio -Recording-(東京都中野区中央)録音

レーベル：自主製作 (Yoko Suzuki Music)

在庫有り
国内自主製作デジパック仕様CD