★80歳を迎えるもなおアグレッシヴ&ラジカルな孤高の音楽探究に余念のない、ドイツ進歩派ピアノの重鎮にして急先鋒:ヨアヒム・キューン(1944年ドイツのライプツィヒ生まれ)の、今回はフランスの精鋭陣と組んだ新生トリオによる、キューン自身がプロデュースも務めたまた一段と精力的な入魂の一編(アルバム全体が2022年に亡くなった兄ロルフ・キューンに捧げられている)。
★カキコキと固く角折れする風な、陰影にも富んだシャープ&ソリッドな骨太ストーン・タッチのピアノが、生々しくパッションのハジける様をハードな力学的アクションをもってアブストラクト領域へも踏み込みつつ激烈に、かつちょっと妖しく活写して圧倒的気魄がほとばしるピリッとしたダーク・ビターな華を成し、転げ回りながら体当たりを嚙ましてくる感じのドラムや執拗にウネりまくるベース、らのガチで突っ掛かってくるアタッキングなサポートもノリと緊迫度を強力に高めきった、全編に渡り何より主役ピアノの一切妥協なく彫りの深そうな濃い口の完全燃焼ぶり並びに幽遠なる官能と浪漫の描出力に問答無用で捩じ伏せられる思いの、凄味に満ちた興奮と感動の敢闘内容。
★フリー寄りの抽象的でストレンジな異形のインプロヴィゼーションが炸裂するところもあるものの、トータルなアウトラインとしては、テイストは全く異なるがかつてのポール・ブレイ・トリオにも底通する暗黒のロマンティシズムとエロスに彩られた、シビアで硬質ニヒリスティックだがしかしこの上なく美しくもある"詩的なインタープレイ"を変らず旨としており、哀愁漂うバラードと獰猛壮絶な格闘技激突風の大立ち回り(ど突き合い?)が隣り合わせに交錯する予断を許さない道程の中、変幻自在に飛び跳ねるダリフルク(ds)や結構コク深く唸りを立てるセリエ(またはスリエ?)(b)に少々荒っぽく触発される恰好で、キューン(p)の磨き抜かれ研ぎ澄まされた剃刀の如き即興至芸がひたすら精悍軒昂にさすが練達した冴えを、キレを示していて全く鮮やか。
→スピード感あるダイナミックな激動的局面にあっては容赦なくビザールに暴れ倒す殺陣攻勢で聴く者を蹂躙するかのような切迫した、しかも一音一音を精確に強打しクリアーに響鳴させるその絨毯爆撃ぶりが見事にキマッており、反面、浮遊感渦巻くスペイシーなバラード・インタープレイにおいては、奥行き無限のアンニュイ&メランコリックな憂き心象風景の推移変遷をじっくりと細密・丹念に掬い取り描き込んでゆくポエティシズム表現にまた得難い妙味を発揮、といった具合で、根はP・ブレイと同じくロマンティスト気質の何げにストーリーテラー肌でもある語り口の粋は誠に瑞々しく見事と云うよりほかない。
1. Homogeneous Emotions 8:00 (Ornette Coleman)
2. The Way 14:05 (Joachim Kühn, Thibault Cellier, Sylvain Darrifourcq)
3. Go Süd 11:03 (Joachim Kühn)
4. Supertonic 11:22 (Joachim Kühn)
Joachim Kühn (piano)
Thibault Cellier (double bass)
Sylvain Darrifourcq (drums)
2023年6月13日スペイン-イビサ島のSalinas Studio録音
2024年ドイツ作品
レーベル:
ACT
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数量限定輸入盤LP
入荷予定時期:2025年1月
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