CATFISH RECORDS

★これまでにリリースしたミンガス集やD・ピアソン集が好評だった、モダン・ジャズの名匠達の過去の楽曲群に体系的にスポットを当てて再発見に繋げようというPosi-Toneのシリーズ企画：Blue Moodsの第3弾、＝前2作と同じくテナー(&ソプラノ)サックスのディエゴ・リヴェラを中心としたワンホーン・カルテット(ピアノは2人交代)による、今回はフレディ・ハバード作品集。

★バネを利かせて粘っこくウネる肉太ベースやシャープ&ヘヴィーに勢いよくアタックしてくる敏捷ドラム、らにガッチリ支えられ、また触発されて、しかしマイペースを崩さず朗々とスムース&ブルージーに哀愁を歌うスモーキーなテナーまたはハイトーンでさえずり鳴くようにエモーションを活写するソプラノや、モーダルとファンキーの間を自在に往来するピアノもしくはより清澄でクーリッシュな端正さの際立った第2のピアノ、らがカラフル&テイスティーにさりげなく簡潔な構成力をもってメリハリある見せ場を繋いでゆく、全編ごくシンプル・ストレートな「ハード・バップらしいハード・バップ」演奏が続いて歯切れよくノセられ、和ませられる安定安心の快投内容。

★歌心とスイング感にポイントを絞り、ハバード作の楽曲群が本来的に有する新主流派テイストやちょっとR&B的な漆黒の趣を誠意をもって忠実に体現した、とも云えそうな至って真っ当な醸熟旨口バピッシュ奏演が敏活滑脱にテンポよく展開してゆき、コズロフ(b)&スペラッツァ(ds)の鉄板スウィンギン・ビート鳴動に頼もしくハッパをかけられる恰好で、一座の花形役であるリヴェラ(ts,ss)や二人のピアニスト達のアドリブ活躍が幾分淡々と流れに身を任せるようであり一方で瞬発的にパッションがハジける風なところもある、何げにドラマティックな豊作ぶりを見せてゴキゲンだ。

★リヴェラ(ts,ss)の、テナーでは丸みを帯びた滑らかな流線形を描くレスター系っぽい寛ぎスタイルとロリンズやジョーヘンとかにも通じる分厚いハード・ドライヴ感&パンチを強めた唸り吠え技の掛け合わせ、調の渦巻きブロウを基本身上とし、時にはコルトレーンとまでは行かないもののモード派タイプの解釈に新鮮さや深みも見せる、一貫してワンポイントのゆとりと温もりを絶やさない落ち着いたプレイで聴く者を包み込むように魅了し、ソプラノではより尖った音響でもってスピリチュアルに昂揚感を齎す、といった具合でそうした中々懐の広い吹鳴のあり様が余情豊かに妙味を揮っており、一方、思い切りのいい吟醸感溢れるヒラハラ(p)とアーシーな中にも唯美性やエレガンスを堅持して見せるデイヴィス(p)の2ピアノ対比がまた興趣充分で、全般に、一定のインティメイトな和気やリラクゼーションの漂う音場にあって、本作における主役はあくまで楽器以前に先ず"曲"であるという企画意図を踏まえ、自己主張はほどほどに(己を虚しうし?)節度や分をきちんとわきまえて進められる演奏には思わずホッとさせられる。

01. Crisis 4:42
02. First Light 4:19
03. Latina 4:04
04. Brigitte 4:34
05. On The Que-Tee 4:48
06. Little Sunflower 5:28
07. Gibraltar 5:31
08. D Minor Mint 4:59
09. Sky Dive 6:38
10. Happy Times 4:49
11. Lament For Booker 5:31
12. Soul Surge 4:37
＊all compositions by Freddie Hubbard

Diego Rivera (tenor saxophone except 02, 06, 09, 11) (soprano saxophone on 02, 06, 09, 11)
Art Hirahara (piano on 01, 02, 03, 05, 07, 11)
Jon Davis (piano on 04, 06, 08, 09, 10, 12)
Boris Kozlov (bass)
Vinnie Sperrazza (drums)

2024年6月22日米NYブルックリンのAcoustic Recording録音
2025年作品

レーベル：Posi-Tone

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見開き紙ジャケット仕様輸入盤CD