★フリー寄り(と云うより、もろフリーか)のラジカルな攻撃力溢れる辛口アプローチに本領を発揮する、本邦新世代ハード即興派アルトサックスの急先鋒:纐纈雅代改め纐纈之雅代の、前作から凡そ9年ぶりとなる本盤は、ギター入りカルテットを率いたまたアグレッシヴな最新アルバム。
★絞りと破裂の効かせどころを上手く心得た抑揚豊かな力強い生命力を感じさせ旨味にも富む精悍トーンのアルトが、ブルースやバップの言語マナーを踏まえた上で敢えてアブストラクト&スピリチュアルに烈しく泣き叫ぶが如き、所々フリーキーな歪みを含んだ奔放インプロヴィゼーションを爆発的に繰り出して、生々しい切実さや切迫感溢れるワイルド・エモーショナルな中々猛々しき魅力を放ち、ブルージーでありながらノイジーであったりアンビエント音響派っぽいところもあったりするギターの不敵な遊撃暗躍ぶりや、肉太くウネるベースの重厚ドライヴ鳴動、ちょっと怪しげに雑色音を掻き鳴らす風なパーカッションの蠢き、といった辺りもそれぞれにカラフル&スリリングそしてテイスティーな妙味を揮って強いインパクトを残す、トータルとしては概ね"フリー・ジャズ"の正統らしい乱調にして吟醸感ある熱演が続いて、生鮮度抜群に昂揚させる突き抜けた敢闘内容。
★シュールでストレンジでビザールだが根底には濃いめの情感や人間味がしっかり脈打った、破壊力満点にしてリリカルな詩情仄めく激烈アクション奏演が歯切れよく簡潔に、好テンポで展開してゆき、サイド陣の剛柔硬軟のツボを心得た変移自在のゲリラティックな攻撃的バックアップもグルーヴと迫真スリルを的確に醸成して「圧」を利かせてくる中、彼らにビシビシ触発される恰好で、纐纈之雅代(as)の腰を据え肝を据えて悔いなく完全燃焼する屈強この上なき即興至芸がタフ&ストロングに冴え渡って、スカッと胸のすく壮快さだ。
→大雑把に捉えるならオーネット・コールマンと阿部薫を足して2で割った感じか、即ちサックス吹奏を一旦抽象的に解体しそれを組み立て直して所謂スピリチュアル・ジャズの範疇へ落とし込んだ風な、凶暴でいて情魂味たっぷりな鳴音のあり様には興奮とウマみをマックスに齎す好もしい趣があり、またバラード解釈においてはわりかしハード・バッパー体質やコク旨なブルース・フィーリングが所々垣間見える、辺りも親しみの持てるナイス・ポイント。変幻自在の忍術者めいた立ち働きを見せる潮田(g)や落合(b他)の助演も光る。
01. St. Louis Blues (as & g duo)
02. 如意ン棒 OUT
03. あやめ (as-b-per trio)
04. Lonely Woman
05. 煩悩という名の扉
06. ひかりのぼくら
07. へび使いごっこ
08. 如意ン棒 IN
09. 月と海
10. Beatnik
纐纈之 雅代 (alto saxophone) (soprano saxophone on 07)
潮田 雄一 (guitar except 03)
落合 康介 (bass, 馬頭琴 except 01)
宮坂 遼太郎 (percussion except 01)
キング関口台スタジオ録音
2024-2025年日本作品
レーベル:
Somethin' Cool
御予約商品
2025年1月22日発売予定 受注締切:2024年12月14日
国内制作CD