★過去の諸作がいずれも好評だった、スペインの主流派シーンで活躍する人気個性派ピアニスト:アベ・ラバデ(1977年スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ生まれ)の、今回は、トリオ編成で色彩心理学をテーマにしての"色"に因んだオリジナル曲演奏を聴かせるコンセプチュアルな一作。
★鋭角的キレと丸みあるスムース感が自然に一体化した鮮度抜群で推進力十二分の精細端正なタッチのピアノが、重心をしっかり据えてダイナミックかつ敏捷に宙を舞い躍りながら深い哀愁や詩情を活写する、陰影と硬質さ溢れるビタースウィートなスパイスの効いたアクション型リリカル・プレイをシャープ&ソリッドに粛然と紡いで、ピリッとした精悍で凛々しい、しかも豊かな余情を湛えた何とも味のある魅力を放ち、アーシー&スピリチュアル(時にエキゾティック)なベースやワイド&ヘヴィーウェイトでパンチあるドラムらの機略縦横の遊撃ぶりもノリと緊迫感を的確に高めきった、全般に抒情指向でメロディックだが決して甘さに流されない一定のハードボイルド色を保ったバランスのとり様に、こちらも心地よく張り詰めた気分を味わわされるという中々馨しき充実の敢闘内容。
★旋律や和声の美しさと律動的スイング感を重んじ、幾分厳しく引き締まった面持ちでありながらしかしあくまで「詩的」であり「ロマネスク」であることを変らず身上とした、真剣勝負の気魄漲る情緒型奏演が背筋の伸びた敏活な調子で展開してゆき、カミネロ(b)やペドロソ(ds)の生き物の如く絡みつき喰らいついてくるアタッキングな(インタープレイ誘発型?)サポートに上手く触発される恰好で、ラバデ(p)の、研ぎ澄まされたブレのない練達を感じさせるアドリブ妙技が幽玄深くも薫り高い冴えを、キレを見せて秀逸だ。
→エヴァンス、ハンコック、ジャレットらの成果を踏まえていそうだが最早その出所を一々想起させることもなく独自のヨーロピアン・モーダル・リリシズムの世界観が確立されていて、多分に苦味を含んだ翳り濃く半メディテイティヴな、だが難解さに陥らぬ開かれた心象風景スケッチ調であったり、牧歌的で旅唄のようなロンリネス漂うフォーキー節であったり、一転してR&Bやゴスペルに通じるダウン・トゥ・アースなブルース・テイストをフル発揮したグルーヴ調であったりと、そうした分かりやすいが甘すぎず誰にも似ていないスパイシーでややダークな憂きポエティシズムの躍動的体現の様には、無限の奥行きと生々しい切迫力・切実さが感じられ説得力も絶大。
1. Curcuma
2. Terras De Sangue
3. Via Solleira
4. Esmeralda
5. Mar De Palabras
6. Ollada Serena
7. Coroas De Neboa
Abe Rábade (piano)
Pablo Martin Caminero (double bass)
Bruno Pedroso (drums)
Unknown (female voice on 4)
2024年7月27-29日スペイン-マドリードのCamaleon Music Studio録音
2024年スペイン作品
レーベル:
Karonte
在庫有り
輸入盤三つ折り紙ジャケット仕様CD