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ホーム2024年11月REVIEWヨーロッパ耽美詩情派の典型たる憂いや物悲しいメランコリーを含んだエレガント&ロマネスクな優しい哀愁描写に遺憾なく本領が発揮されたリリカル・ピアノ・トリオの深き奥義 国内盤CD ROBERTO OLZER TRIO ロベルト・オルサー・トリオ / AURORA オーロラ
商品詳細
★当初はSplasc(h)から、その後はDodiciluneやTRJそしてAbeat、澤野からアルバムを連発して幅広く確かな支持を集めてきた、浪漫詩人肌の人気イタリアン・ピアニスト:ロベルト・オルサー(オルツァー?)(1971年イタリアのドモドッソラ生まれ)の、今回もまた鉄壁不動のレギュラー・トリオ(w./ユーリ・ゴルベフ-b&マウロ・ベッジオ-ds)を率いての一編。録音エンジニアはステーファノ・アメーリオ。

★折り目正しくもゴツッと固い骨太堅牢感と深い陰影に富む、小石を転がすような重心の据わったソリッド・タッチのピアノが、デリケートなニュアンスと歯切れよく進むノリや勢いを兼備した、トータル的にはあくまでテンダー&センシティヴそしてポエティック&ファンタジックな哀愁と余情溢れる"美旋律の泉"然としたリリカル・プレイを流麗かつリズミカルに綴って、涼風がそよ吹き過ぎ去ってゆくかのような瑞々しくもどこか儚げな憂さを孕んだ魅力を放ち、このピアノに生き物の如く柔軟に絡みつくベース&ドラムの、安定律動力と機略縦横の遊撃性に長けた中々フレキシブルなサポートもグルーヴと緊迫感充分にツボにハマッた、全体を通じ今日のヨーロッパ詩情派の正統らしいメロウでちょっぴりアンニュイしかも快調にノる軽やか奏演が続いて、その半ば幻想的な世界に心地よく浸れるさりげなく密度の高い快演内容。

★メロディーや和声の端麗美と詩的メランコリーを何より大切にし、リズム・スタイルは当世らしくコンテンポラリーめでヴァラエティーに富んだ、繊細で端正なしっとり感漂う抒情指向のクール・メロディック妙演が機微と軽みをもってストーリーを描くように推し進められてゆき、1曲1曲はそう長すぎぬ尺にスッキリとまとめられた快テンポの道程の中で、雄弁にウネり唄いドライヴするゴルベフ(b)やキレ味シャープに躙り寄るベッジオ(ds)、に上手く触発される恰好で、オルサー(p)の、一音一音に潤沢なる情感〜魂がこもっていながら、何げに卓越した構成センスでわりかし簡潔な流れに仕上げて見せるストーリーテラー肌のアドリブ妙技が、清新にして幽玄深い、さすが熟達した冴えを見せて絶品だ。

→基本はユーロ系の耽美派ならではの、クラシック・ピアノに由来したエレガンスと一種の吟遊詩人っぽい文学性に裏打ちされた作法に則っての精確巧緻かつマイルド&ロマネスクなその物語り様に、深遠典雅この上なき気品と節度ある優しくも物悲しい本領が発揮されており、この時点ではバップ・ピアノやブルース・ミュージックから最も遠いところにある音キャラのようにも思えるが、しかしそうした中でもまろやかな牧歌的アプローチにあっては吟醸的ブルース・フィーリングが巧みに応用されていたり、4ビートでストレートにスイングする局面(#05とか)ではオーソドックスなバップ・イディオム風のダイナミズム表現やスイング感醸成が按配よく活かされていたりと、さほど目立ちはしないもののバップ&ブルースの基礎にもしっかりと根ざした表情豊かな語り口は結構懐広げで鮮麗秀抜。

01. After You Went Away
02. Saharan Dream
03. Aurora
04. A Minuet Mint
05. Torre Del Lago
06. Parisian Episode IX
07. Piano Concerto
08. Heimweh
09. Yumeji's Theme
10. Blue Eyes Blue
11. Corale
12. A Little Waltz

Roberto Olzer (piano)
Yuri Goloubev (bass)
Mauro Beggio (drums)

*engineer:Stefano Amerio 

2024年作品

レーベル:澤野工房

在庫有り
国内盤デジパック仕様CD
※このCDのみご購入ご希望の場合は、送料込み価格2,640円になります。


ヨーロッパ耽美詩情派の典型たる憂いや物悲しいメランコリーを含んだエレガント&ロマネスクな優しい哀愁描写に遺憾なく本領が発揮されたリリカル・ピアノ・トリオの深き奥義 国内盤CD ROBERTO OLZER TRIO ロベルト・オルサー・トリオ / AURORA オーロラ[AS 505]

販売価格: 2,520円(税込)
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商品情報
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澤野工房

★音粒がひとつひとつ静かにそっと空間に現れ、ひとすじの糸となりメロディが紡がれ空間をたゆたう音のベールが現れる。オルサーのピアノが輝く!

★ライナーノーツ
2024年5月、連続で発生した太陽フレアが起こした大規模な磁気嵐は日本をはじめ低緯度の国々にもオーロラを出現させた。その記憶もまだ消えぬ6月、イタリアのピアニスト、ロベルト・オルサー。澤野工房6枚目のアルバム「Aurora」が発表されたのはジャズの神様の粋なはからいだろうか。
静かに波打っていた光の帯が、あたかも感情を高ぶらせ爆発するかのように天上を光で埋め尽くすAurora Break Upという現象がある。オルサーの演奏もまたそれに似て、繊細な美旋律から始まり、不動のベース、ユーリ・ゴルベフとドラム、マウロ・ベッジオのリズムの躍動に呼応し、呼吸が荒く脈は高まり血流が体を駆け巡り、抑えきれない感情のうねりに耐え切れず身を震わせ、空間に音が満ち溢れる。オリジナルでタイトル曲「Aurora」、ソロアルバムにも収録された「Torre del Lago」、エンニオ・モリコーネ「サハラの夢」、ウォン・カーウェイ監督“花様年華”から「夢二のテーマ」等々、その彩りも鮮やかだ。“音のマエストロ”ステファノ・アメリオの録音は、オルサーの指から発せられた音が空間を満たし、ふたたび静寂にもどるその刹那まで見事に録らえて作品に磨きをかける。 漆黒の闇のような静寂、音粒がひとつひとつ静かにそっと空間に現れ、ひとすじの糸となりメロディが紡がれ空間をたゆたう音のベールが現れる。それは光を放つかのように輝き、刻々とその姿を変えていく。ロベルト・オルサーのピアノは輝く。オーロラの煌めきのように。
(Text by 白澤茂稔)