★フランス主流派シーンで活動し、Just Looking ProductionsやIn Space & Time(Space Time) Records、Matrisse Productions等に着々と自己名義吹き込みを残す他、サイドマンとしてキース・ブラウン(p)やアルド・ロマーノ(ds)、フランシス・ロックウッド(p)らのレコーディングでも優れた腕前を発揮してきたアルト(&ソプラノ)サックスの逸材:バティスト・エルバン(1987年フランスのシャルトル=Chartres生まれ)(1985年生まれ説もある?)の、今回は、重鎮アンドレ・チェッカレッリ(ds)らとのサックス・トリオによる、ジャンゴ・ラインハルト絡みの楽曲をメイン・レパートリーとした一編。
★一部ではテナーと聞き違えるほど低く重い鳴り様を呈するところもある、肉太で厚みがありしかもキュッと引き締まってもいる精悍トーンのアルトが、"哀愁の歌謡性"を伝統的バップ・アクションも交えて流麗敏活に体現した陰影に富む躍動型リリカル・プレイを綴って、滑らかな中に鋭いキレのあるビタースウィートで凛とした華を成し、分厚くヘヴィーにドライヴするベースや細密かつシャープな立ち回りで精緻にノリ&スリルを提供するドラム、らの活躍も頼もしげに際立った、全体を通じサックス・トリオの正統らしい無駄なくシンプルでテイスティー・グルーヴィーな趣と主役アルトの結構クーリッシュな清風的キャラとが相まって、爽やかな感触の音世界をスッキリと愉しませる快演内容。
★メロディーの端麗美と歯切れのいい律動的グルーヴ感を何より大切にした、ごく正攻法な抒情派エンタテインメントの典型たるアクティヴ・バピッシュ奏演が溌溂と展開され、1曲1曲は概ね簡潔めにまとめられた快テンポで進む道程の中、安定力とフェイント性を自然に併せ持つチェッカレッリ(ds)やバネを利かせてウネウネと波打つロマーノ(b)らの助演もコク深く光りつつ、彼らに上手く刺激されて、エルバン(as)の涼感とシャープネス溢れるリキみなくも背筋の伸びたアドリブ妙技が、フレッシュ・スリリングに鮮度抜群の見せ場を飾って素晴らしい。
→パーカーと云うよりはコニッツ辺りを出発点とした一種のクール・バップ的な行き方を根幹とし、ソフト・スムースに流線形を描きながら剃刀っぽい鋭利さをも垣間見せ、それに加えてフランス人独特のシャンソン風メランコリーやエスプリっぽさも香味的に添えられた吹鳴キャラにはワン&オンリーの瑞々しい煌めきがあり、また数曲でソプラノに持ち替えるが、そこではD・リーブマンもしくはS・レイシーがエキゾティックなフォーキー節を歌うかのような更に尖ったアグレッシヴ攻勢に新味を見せたりと、そのバピッシュ・スインガーであり歌謡的ロマンティストであり苦味走ったシリアスな思索派でもある個性のあり様は、奥行きにも富み説得力十二分。
01. Django
02. Night And Day (overdubbed self saxes ensemble-b-ds)
03. Montagne Sainte-Geneviève
04. Nuits De Saint-Germain-Des-Prés
05. Anouman
06. Tea For Two
07. Troublant Boléro
08. Valse De Wasso (as & b duo)
09. Choro Django
10. Djangology Herbinologué
11. Indifférence
12. Tears
13. Rythme Futur
14. Nuages (solo as)
Baptiste Herbin (alto saxophone, soprano saxophone)
Sylvain Romano (double bass except 14)
Andrè Ceccarelli (drums except 08, 14)
2024年フランス作品
レーベル:
Matrisse Productions
在庫有り
デジパック仕様輸入盤CD