CATFISH RECORDS

★米西海岸黒人ハード・バップ・テナーの代表的名手：ハロルド・ランド(1928年米テキサス州ヒューストン生まれ、2001年カリフォルニア州ロサンジェルスで死去)の、本盤は、盟友ボビー・ハッチャーソン(vib,marimba)と組んだコンボによる、中々ドス黒いバピッシュ・ジャズ・ファンクの熱演が聴かれる、1971年ロサンジェルスで吹き込まれた傑作(Mainstream MRL 344)の再CD化版。

★強烈にバネを利かせてウネりにウネるスーパー・ドライヴィングなベースや、ワシワシとけたたましく攻め立ててくる左右の2ドラム、パーカッシヴな乱れ打ちの中に瞑想的スピリチュアリティも覗かせるマリンバもしくはブルージーで潤い溢れる流麗ヴィブラフォン、ファンク的グルーヴ感とソウル・フィーリング満点のエレピ、キレ味シャープで剛健なファンキー・ピアノ、らに猛然とプッシュされながら、しかしマイペースを崩さずアーシーでブラックなこってりコク深い咆哮を轟かせるパンチの効き具合と自然体のソフトネスとの兼ね合いも絶妙の肉太テナー、或いは爽やかな風がそよ吹くようでいて濃い口の情魂味や漆黒の吟醸感もしっかり振りまく青嵐の如き繊細フルート、がノリにノッた風格堂々の華を成してゆく、この時代ならではの荒削りで生々しい凄味に満ちたモーダル・ファンク世界に胸を揺さぶられる思いの、ワイルド・エキサイティングな只ならぬ昂揚内容。

★ストレートアヘッドなモード系ハード・バップと1970年代流のゴツいジャズ・ファンクが幾分荒っぽく掛け合わされた、歌心やブルース・フィーリングも自ずと潤沢に有する結構男臭い野性的熱演が豪快に展開してゆき、クールにブルース風情を活写するハッチャーソン(vib,marimba)やスマートなファンク・アクションで美味なるアクセントをつけるヘンダーソン(elp,p)、コテコテの芳醇エッセンスを濃厚に発散するジョンソン(b)、辺りもアクのある存在感をバッチリ際立たせる中で、座長であるランド(ts,fl)が緩急巧みで力の入れどころと抜きどころを心得たメリハリあるドラマティックなアドリブ奮戦を見せ、質実雄渾のさすが練達した揺るぎない魅力を放つ。

→中でも、フルートを吹く冒頭曲でのスイスイ風に乗って舞うようでありながらよく聴いてみるとわりかし激烈なモーダル・ブラック・スピリチュアル・アクションが炸裂してもいる鋭い囀り至芸や、続く2曲目でのリラックスしたブルース・ファンク調の滑り出しから次第に猛烈な雄叫びへも転じる、じっくり地の底へ降りてゆく感じのダウン・トゥ・アース&ソウルフルなテナー・ブロウ、また4ビートでストレートにスイングするラスト曲でのこれもテナーによる頑として1ミリもブレない伝統志向の分厚い王道ハード・バッパーぶり、などに黒人モダン・ジャズマンとしての矜持がとりわけ濃密に感じられて理屈抜きにゴキゲンだ。

1. チョーマ (バーン) Choma (Burn)
2. アワ・ホーム Our Home
3. ブラック・カクタス Black Cactus
4. アップ・アンド・ダウン Up And Down

Harold Land (tenor saxophone except 1) (flute on 1)
Bobby Hutcherson (vibraphone on 2, 4) (marimba on 1, 3)
Bill Henderson (piano, electric piano)
Harold Land Jr. (piano)
Reggie Johnson (bass)
Leon "Ndugu" Chancler (drums)
Woody Theus (drums)

1971年米カリフォルニア州ロサンジェルス録音

レーベル：ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) Solid Mainstream

在庫有り
国内盤CD