★イマニュエル・ウィルキンズ(as)やジョエル・ロス(vib,marimba)、ケンドリック・スコット(ds)ら、現行Blue Noteレーベルを代表する新世代の看板スター達が集まった、ブルーノート85周年を記念してのスペシャル・コンボ・プロジェクト(クインテット):Out Of/Into="アウト・オブ/イントゥ"の一作。
★鋭い絞りと柔らかな丸みを混在させた味のある鳴り様を呈するアルトサックスが、モーダルとアーシーの間を往来するバピッシュ・ファンク・アクション調の吹奏をあくまで余裕を絶やさず涼しげに、滑脱に繰り出して先ずは颯爽とした華々しい魅力を放ち、クール&パーカッシヴ&メタリックそしてブルージーなヴィブラフォンもしくはより打楽器性の強いポコポコ途切れるように鳴るマリンバや、ストレートアヘッド・ジャズの権化然と硬派渋旨な立ち働きにほぼ終始するソリッド感溢れるピアノ、らも各々存在感たっぷりに魅惑の彩りを成した、全編現代流モード・ジャズの一典型らしい迫真の緊張感と旨味十二分の邁進が続いてテイスティー・グルーヴィーにノセ、昂揚させるフレッシュな好投内容。
★歌心とスイング感を十全に備えるも甘さはやや控えめでハードボイルド調の凛々しさある、かつブルース・フィーリングも自ずと潤沢に有した、当世型のリアルなハード・バップ・ジャズには違いないが個々のメンバーが"どバップ"派だったりM-BASEファンク辺りまでを踏まえたコンテンポラリー肌だったりと微妙に温度差があって、それがいかにもイマドキ風の切磋琢磨的スリルを生んでもいる、至ってアップトゥデイトなリリカル・アクション熱演が敏活に展開してゆき、バネを利かせて太く唸るようにウネるドライヴ感満点のブルワー(b)や、ちょっとトニー・ウィリアムスっぽく安定律動と不意打ちを微細に混合して攻め立ててくるスコット(ds)、がガッチリと空間の基盤を固める中で、ウィルキンズ(as)、ロス(vib)、クレイトン(p)、が伸び伸びと個性&必殺ワザを揮ったソロ・コーナーがカラフルにして濃密な盛り上がりを見せて、実にエキサイティングだ。
★一座の花形役を担うウィルキンズ(as)の、純バップと云うよりはケニー・ギャレットやグレッグ・オズビー、スティーヴ・コールマン辺りのファンク・スタイルを出発点としてモード系ハード・バップへ遡った印象の、熱さと爽涼さない交ぜのブローイング=軽やかなフットワークで飄々と躍る弾みのいい跳ねっぷりが、何はともあれ最も目立つ主役スターとして精悍に「今日ムード」を高めており、これに対してクレイトン(p)の60年代の新主流派を思わせる(要するにハンコック的?)立ち回りや、ロス(vib)のミルト・ジャクソンとボビー・ハッチャーソンの折衷っぽいマレット捌き、が真っ当なバップ色を醸し出しつつよく拮抗して、21世紀ジャズと20世紀ジャズのシーソー・ゲーム的道筋進行(友好的な鬩ぎ合いにしてウィルキンズ孤軍奮闘の構図か)となっているところが面白さのミソ。
1. オファフリー / Ofafrii
2. ガバルドンズ・グライド / Gabaldon's Glide
3. ラディカル / Radical
4. セカンド・デイ / Second Day
5. アスパイアリング・トゥ・ノーマルシー / Aspiring To Normalcy
6. シンクロニー / Synchrony
7. バーズ・ラック / Bird's Luck
8. インファント・アイズ / Infant Eyes ※日本盤限定ボーナス・トラック
イマニュエル・ウィルキンス Immanuel Wilkins (alto saxophone)
ジョエル・ロス Joel Ross (vibraphone except 1) (marimba on 1)
ジェラルド・クレイトン Gerald Clayton (piano) (electric piano on 2, 4)
マット・ブリューワー Matt Brewer (bass)
ケンドリック・スコット Kendrick Scott (drums)
2024年アメリカ作品
レーベル:
Universal Music Japan Blue Note
在庫有り
国内盤SHM-CD
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