★ハービー・マンのグループに比較的長く在籍した(また1950年代のアート・ペッパーともレギュラー的によく共演していた)他、実に幅広く膨大な第一線セッション群に名を連ねてきたオールラウンド名脇役ベーシスト:ベン・タッカー(1930年米テネシー州ナッシュヴィル生まれ、2013年ジョージア州ハッチンソン島で死去)の、これは数少ないリーダー・アルバムの一つ、=西海岸の演奏仲間であるヴィクター・フェルドマン(p)とラリー・バンカー(vib)をフィーチュアし、それにギター(レイ・クロフォードとトミー・テデスコが交代で登場)も加わったクインテットを基本に、曲によっては更にパーカッションも入ってくる体制での1963年3月録音・Äva Records原盤の渋好み佳作のCD化(世界初CD化)。
★バネを利かせてダイナミックにウネり波打つ肉厚ベースやシャープかつ敏捷にパンチ・アタックをカマしてくる瞬発力あるドラムらの躍動にガッチリ支えられ、また上手く煽られながら、ダウン・トゥ・アースなブルース・テイストとスマート&エレガントなジェントルイズムを併せ持ったピアノや、こってりソウルフルで張りのあるギター、ひたすらクーリッシュに洒脱街道を突き進む清涼感満点のヴィブラフォン、らが代わる代わる色彩+旨味豊かに華々しい見せ場を繋いでゆき、ウエスト流マイルド・ブルージー・バップの鑑とも云うべき吟醸的でいて軽み溢れるラウンジ風の音世界を波乗り気分で愉しませる、ゴキゲンなデリシャス内容。
★ジョージ・シアリング・クインテットと同様の楽器編成だが印象は全く異なり、じっくりと地の底へ降りてゆくようなアーシーなブルース傾向(またある時は賑々しいラテン・グルーヴ色)の極めて強い、好もしい黒さの備わった、しかもまた西海岸ジャズならではの自然と脱力した軽妙瀟洒さやウィットっぽさを巧まず有する、何ともイカした抒情派リラクシング・バピッシュ奏演がノリよくも簡潔に、サラリと流れるが如く展開してゆき、タッカー(b)の、控えめな後方支援に徹しつつも豊かなコクを振りまくドライヴィング鳴動も絶えず頼もしく芳醇なる魅力を放つ中で、フェルドマン(p)、バンカー(vib)、ギター陣の決してリキまぬ滑脱な活躍が誠に風流に小粋で渋い煌めきを見せて爽快だ。
★フェルドマン(p)の、軽やかで洒落た小唄フレージングを流麗に綴る機智あるジェントルマンであり、同時にファンキー&アーシーな旨さ格別のブルースマンでもある、加えて結構テンダー&ロマンティックに哀愁を映す辺りはちょっとエヴァンスっぽかったりもする、その伸びやかでいて節度と質素さが身上の含蓄深げな語り口が中々雅やかに際立っている他、ギター勢の堅牢な張り&キレをもってケニー・バレル寄りだったりグラント・グリーン似だったりクリスチャン〜ケッセル系バップ・ギターの正統風だったりのワザを繰り出すシャープ&ソリッドな立ち回りや、バンカー(vib)のクール・ラウンジ・ムード演出係にしてミルト・ジャクソン・ライクなわりかし濃いブルース色も発散する闊達なるマレット捌き、といった辺りもエッセンスをギュギュッと凝縮したが如き妙味を軽々揮っていたりと、ソロ・コーナーは何げに殊の外充実している。
1. ランブリン・ローヴァー Ramblin' Rover (written by Tucker - Schackman - Dorough) 2:46
2. ドント・ユー・ノウ Don't You Know (written by Tucker - Dorough) 2:32
3. 愛の夢 Liebestraum (arranged by Feldman) 4:48
4. フォー・ヘヴンズ・セイク For Heaven's Sake (written by Meyer - Bretton - Edwards) 2:48
5. ワン・フォー・ザ・ウーファー One For The Woofer (written by Taylor) 3:35
6. ハートエイクス Heartaches (written by Klenner - Hoffman) 1:55
7. ベイビー、ユー・シュッド・ノウ・イット Baby, You Should Know It (written by Tucker - Dorough) 3:03
8. カプリシャス Capricious (written by Taylor) 2:32
9. ザ・メッセージ The Message (written by Tucker - Stevenson - Dorough) 4:34
Victor Feldman (piano)
Larry Bunker (vibraphone)
Ray Crawford (guitar)
Tommy Tedesco (guitar)
Ben Tucker (bass)
Bobby Thomas (drums)
Carlos Valdez (percussion)
Raphael Lemos (percussion)
1963年3月30日録音
レーベル:
ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) Solid Mainstream
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国内盤CD