★ブラッド・メルドー(p)(1970年米フロリダ州ジャクソンヴィル生まれ)、マーク・ターナー(ts)(1965年米オハイオ州フェアボーン生まれ)、ピーター・バーンスタイン(g)(1967年米ニューヨークシティ生まれ)、というNY主流派シーン最前線を突っ走る3大人気スターがガッチリと組み合い(←各々個別には結構頻繁に共演している)、ラリー・グレナディア(b)&ビル・スチュワート(ds)の鉄板リズムを伴ったクインテット・チーム:M.T.B.(かつて90年代にもこのM.T.B.名義でCriss Crossに吹き込みがあった)(但しその時はドラムがレオン・パーカーだった)の凡そ30年ぶりの一作。曲は銘々持ち寄りのオリジナルや有名先達ジャズメン作品。
★重厚さと鋭角性をもって骨太く鍵盤を強打するピアノの半パーカッシヴでありブルージー・バピッシュなところもある苦味走った弾奏が、全体の先導役っぽく陰影濃い魅力を放ち、アーシーな吟醸ソウル満点にブルース色の強い躍動的哀愁節を歌うギターや、独特の浮遊感を伴いつつクール・レイジーにたゆたい泳ぐテナー、らもそれぞれに華々しい存在感とともに風格堂々と見せ場を飾りきった、概ね全体の構図としては比較的コンセプチュアルに筆致を制御するピアノの頭脳型プレイとあくまでマイペースで一ソロイストにほぼ徹したギター&テナーのセッションめいた振る舞いとが好対照を成しながら、カラフル&スリリングに味わい深く座を盛り上げたさすがこの名手達にしか為し得ぬであろう奥行き豊かな敢闘内容。
★現代流ポスト・バップの正統スタイルを用いながらの、歌心に溢れブルース傾向もわりかし強めの至って分かりやすいリリカル・スウィンギン・アクション調の快演が、歯切れよくノリよく展開してゆき、グレナディア(b)&スチュワート(ds)の律動力と遊撃性を併せ持ったアタッキングなバックアップに上手く煽られつつ、メルドー(p)、バーンスタイン(g)、ターナー(ts)の、各々ソロ時にはまるで別の方向へ向かっているようでありながら俯瞰してみると中々緊密なチームワークで互いの凹凸にハマり合うが如くドラマティックにまとまってもいる、というその滑脱なる三者三様の活躍がしっかりテイスティーに冴え渡っており、全く素晴らしい。
★メルドー(p)の、例によって考え抜かれた記号的・理知的な行き方も認められはするものの本作においてはブルース&バップに大きく寄せた、それでいて持ち前の"コントロール力"を決して手放さない構成センス抜群のアドリブ妙技がシャープ&ソリッドに際立っている他、潔く粋渋ブルースマンになりきったバーンスタイン(g)のダウン・トゥ・アースでキレのある醸熟プレイや、ふんわり宙を舞うターナー(ts)の波乗り調子の爽涼でいてちょっと頽廃的でもある妖しくもけだるく物憂きリラクゼーション&ロマンティシズム表現、もそれぞれバッチリ濃い口の妙味を巧まずリキまぬ自然体で伸びやかに揮っていたりと、道程は一瞬も耳を離せない充実した聴きどころの連続。
1. Solid Jackson (8:11)
2. The Things That Fall Away (5:59)
3. Angola (6:06)
4. Soft Impression (5:59)
5. 1946 (8:09)
6. Maury's Grey Wig (6:33)
7. Ditty For Dewey (6:18)
8. Ode To Angela (6:41)
Brad Mehldau (piano)
Mark Turner (tenor saxophone)
Peter Bernstein (guitar)
Larry Grenadier (bass)
Bill Stewart (drums)
2023年11月25日&26日米ニューヨーク市クイーンズ区アストリアのthe Samurai Hotel Recording Studio録音
2024年作品
レーベル:
Criss Cross
在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
輸入盤CD