★トランペットのブルース・ハリス(1979年米ニューヨークのブロンクス生まれ)とピアノのエイフッド・アシュリー(1979年イスラエル生まれ)、というNYの中堅人気スター二人がガッチリと組み合ったデュオによる、(バド・パウエルの正統後継者と目された侘び寂バップ・ピアノの権化=)故バリー・ハリスへの深いリスペクト〜オマージュが込められたコンセプチュアルな一編。
★陰影濃く骨太で鋭角な固さ・堅牢さみなぎったストーン・タッチのピアノがとことんバップ・イディオムにこだわった殺陣の型風の渋〜い力学的アクション技を繰り出して、空間の基盤をソリッド&スクエアーに確たるものと成す一方、張りと艶と旨味に溢れた音色のトランペットが明るく朗々と粋な情感を歌い上げて清々しい魅力を放ち、これを強靭さをもって盛り立てながら硬質性の中に哀愁滲むグルーミー・プレイを精悍に紡ぐピアノの凛とした語り口も、中々コク深く人情肌の妙味を揮った、全体を通じ息の合ったインティメイトな空気感の中でしかしキリッとしたシャープネス漲る"バップ命"然たる吟醸的やりとりが続いて、歯切れよくも味わい豊かな音情景に温かく浸らせてくれる快演内容。
★いささか古典的とも思える伝統に則ったバップ・スピリットと親しみやすい歌心、ダイナミックなスイング感、以上を揺るがぬ三本柱とし、十全に醸造されたブルース・フィーリングも巧まず潤沢に備える、和気あいあいにして鋭利なスリルにも事欠かないリリカル・バピッシュ奏演がイキイキと愉しげに展開してゆき、手を代え品を代え多彩に美旋律を綴るハリス(tp)と頑固一徹そうに律儀さを貫くアシュリー(p)、とが鮮やかなコントラストを成しつつメリハリ充分に見せ場を繋いで、生鮮さも絶えず大いに楽しませる。
★ハリス(tp)の、ミュート類も巧みに使いこなし常に色彩変化を心がけながら晴れ晴れとおおらかに喜怒哀楽を活写し、唄いに唄う、ハイ・テクニカルでいてごく取っ付きやすい素朴さ・気さくさも漂わすシャキシャキしたメロディック・ブロウが実にアザやかにクリーンヒットを事も無く連発していて見事で、かたやアシュリー(p)の、ここではちょっとストイックなまでに"バップ職人"にほぼ徹しきった、焦げたようなウマみと燻し銀の趣ある(そしていい意味で融通の利かなそうな)分厚いダイナミズム表現がまた殊の外風流(+妥協なげ)で好インパクト。
1. Thank You Barry Harris!
2. Sphere
3. Curtain Call
4. Father Flanagan
5. The Prodigal Son's Blues
6. Vicissitudes
7. Sundance
8. Em Barry Harrisable You
9. Nascimento
Bruce Harris (trumpet except 8) (vocal on 8) (possibly 手拍子 on 9)
Ehud Asherie (piano)
2024年アメリカ作品
レーベル:
Arbors
在庫有り
輸入盤デジパック仕様CD 写真入りインサート付
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