CATFISH RECORDS

★2018年に49歳の若さで(腎障害による透析治療を受けていた最中の心不全のため)逝去してしまったハード・バップ・トランペットの雄：ロイ・ハーグローヴ(1969年米テキサス州ウェーコ生まれ、2018年ニューヨークで死去)の、本盤は、2種のリズム・セクション(ジェフ・キーザー、ジョン・ヒックス、ラルフ・ピーターソン、アル・フォスター他)に2人のサックス奏者(アントニオ・ハート-asとラルフ・ムーア-ts)が登場する変動的スモール・コンボを率いての会心の名演が聴かれる、1989年12月NYのBMG Recording Studiosで吹き込まれた初リーダー・アルバムにして傑作名盤(Novus原盤)の高音質CDでの再発。

★しなやかな張りとシャープなキレそして破裂的勢いを幾分レイドバック感あるスモーキーなオブラートで包んだかのような、温もりや人情味を多分に感じさせる実に"おいしい"トーンのトランペットが、豊潤なる歌謡的メロディー・センスとブルース・フィーリング&バップ・スピリットにしっかり裏打ちされた精悍にして旨さたっぷりの躍動型リリカル・グルーヴィー・プレイを流れるような滑脱さで紡いで、何とも爽やかな清新さみなぎった華を成し、エネルギッシュ&パッショネートなサックス陣や手堅く抑えを利かせるブルージー・バピッシュなピアノ陣らの活躍も上手く興を散らしつつ魅力的に彩りを添えた、全体を通じ何よりも主役トランペットの瑞々しい情熱がハジけるが如き青嵐の趣ある吹鳴に理屈抜きで胸躍らされる、スカッとした会心打内容。

★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り込んだ至って「ハード・バップらしいハード・バップ」快演がひたすら歯切れよく展開してゆき、何の変哲もない動作の一つ一つにウォームな包容力&懐深さを覗かせるヒックス(p)や、若々しさほとばしる凛々しいキーザー(p)、鋭くウネるファンブロー(b)にドライヴ感溢れるドッシリしたコリー(b)、刃のキレ味と推進プッシュ力抜群のフォスター(ds)、小回りを効かせてスピーディーに躙り寄るピーターソン(ds)、らの援護射撃も頼もしく的確にツボにハマる中で、ハーグローヴ(tp)の、リーダー・デビュー作にして既に堂々たるスターの風格を湛えた、結構ドラマティックにストーリーを語る感じのアドリブ奮戦が、粋で渋くてテイスティーそれでいてスッキリとした敏活な冴えを見せて誠に清々しい。

→端正で精緻な安定したハイ・テクニックに確固と根ざし、巧まずごくナチュラルに備わったブルース&バップ・センスとアメリカン・オーソドックスな歌性の赴くままに筆を滑らせているようでありながら、何げに鮮やかな流れに"構成"されてもいて、しかし当の本人はあくまで事も無く涼しい顔を保ったその、先ずは音色そのものに宿った花形らしさで魅了し、次いでそうした完成された語り口の妙で見事にノックアウトする、という殊の外密度の高い早熟ぶりには大いにウナらされる。熱血なハート(as)や堅牢なドライヴ感に満ちたムーア(ts)、のサックス勢の助演もばっちりデリシャスに光る。

01. Proclamation プロクラメイション
02. Ruby My Dear ルビー・マイ・ディア
03. A New Joy ニュー・ジョイ
04. Confidentiality コンフィデンシャリティ
05. Broski ブロスキー
06. Whisper Not ウィスパー・ノット
07. All Over Again オール・オーバー・アゲイン
08. Easy To Remember イージー・トゥ・リメンバー (tp-p-b-ds quartet)
09. Premonition プリモニション
10. BHG B・H・G
11. Wee ウィー

Roy Hargrove (trumpet)
Antonio Hart (alto saxophone except 08)
Ralph Moore (tenor saxophone on 01, 05, 07, 09, 10)
Geoffrey Keezer (piano on 01, 05, 07, 09, 10)
John Hicks (piano on 02, 03, 04, 06, 08, 11)
Charles Fambrough (bass on 01, 05, 07, 09, 10)
Scott Colley (bass on 02, 03, 04, 06, 08, 11)
Ralph Peterson (drums on 01, 05, 07, 09, 10)
Al Foster (drums on 02, 03, 04, 06, 08, 11)

1989年12月米ニューヨークシティのBMG Recording Studios-Studio A録音
(stereo)

＊但Ralph Mooreの参加曲については記載データに若干疑問あり(maybe? on 02, 07, 10?)。

レーベル：Sony Music Novus

在庫有り
国内盤CD(極HiFiCD/音匠レーベル仕様)