★1940年代から現在に至るまで一貫してジャズ・シーンの第一線で活躍、絶えず進取の気性と新しい時代のセンスを備え、多様なスタイルを体得しつつ、卓抜なヴァイタリティ&フレキシビリティ&革新性をもって、各時代を代表するビッグ・ネーム達(パーカー、パウエル、モンク、トリスターノ、サラ・ヴォーン、ドルフィー、コルトレーン、ゲッツ、ローランド・カーク、マッコイ、C・コリア、G・バートン、P・メセニー等々)と渡り合ってきた、ジャズ・ドラム界きっての進歩派横綱:ロイ・ヘインズ(1925年米マサチューセッツ州ボストンのロックスバリー生まれ)の、本盤は、ケニー・バロン(elp,p)&リチャード・デイヴィス(b)とのトリオにパーカッションも加わりつつの熱演が聴かれる、1973年10月NY録音の傑作(RCAビクター原盤)のCD化版。
★シャープかつ敏捷に空を斬り速射砲撃的にドスのあるパンチ・キックをカマしてくる感じのドラムの大攻勢や、強烈にバネを利かせてパワフルにウネり波打つ堅牢さと弾性を併せ持ったベースのドライヴ感溢れる躍動、加えてリズミカル&半エキゾティックに賑々しくグルーヴを体現するパーカッションの踊り具合、に上手く煽られ、刺激されながら、ファンク的ブルース・フィーリングとグルーヴィー・センスの塊のようなエレピの流麗に躍るメロディック・アクション・プレイが、スタイリッシュ&アーシー・バピッシュに美味さ格別の華を軽快に飾りきった、全般に1970年代ならではの彩色鮮やかな音響演出や適度にソフィスティケートなノリのあり様とごくストレートアヘッドな伝統的ハード・バップ・ジャズらしい重みある粋渋テイストが自ずと細密に掛け合わされた、しっかり硬派雄渾なるダイナミック・ブルージー熱演の連続でエキサイティング&フレッシュ・スリリングに昂揚させてくれる、歯応え十二分の敢闘内容。
★歌心や当世(70年代)流のスイング感を何より大切にし、漆黒のブルース・フィーリングやバップ・スピリットも巧まず豊富に備わった、更にはモーダル・アグレッシヴな熱情的勢いも多分に感じさせる、ひたすら精悍軒昂でありつつこの時代特有の少々荒削りな生々しい気魄のみなぎったタフでアツい躍動型ハードボイルド・ソウルフル奏演、が勇ましくも猛々しく展開され、幾分かダンサブルな"ラテン・ファンク"調のテイストも適所適量加えられたあくまで真剣勝負の迫力ある道程の中、ヘインズ(ds)の鬼神の如き速攻強襲やデイヴィス(b)の雄弁と云うよりも執拗なまでにウネウネと渦巻くコク深い立ち回りに触発される恰好で、一座の花形役を担うバロン(elp,p)の腰を据えて歯切れよく跳躍する加熱沸騰力抜群のアドリブ奮戦が、ダウン・トゥ・アースにしてエモーショナル&パッショネートに堂々の映えを見せて壮快だ。
→先ずメインとなるエレピにおいてはリズミックなビートに自然に乗って「ジャズ・ファンクの権化」たるこなれたブルーシー・グルーヴ技を鋭敏に繰り出して、こちらも思わず血沸き肉躍るブラック&ホットな見せ場を創出し新鮮に興奮させてくれ、ラスト1曲ではアコースティックを弾くがこれがまた実に雄々しくモーダル・スピリチュアルかつファンキー・バピッシュなメインストリーマーの矜持を遺憾なく発揮した名演となっており、当時30歳だったバロンの既に完成度の高い哀愁とガッツみなぎったテイスティー・インプロヴァイザーぶりは旨味+説得力満点。ヘインズ(ds)&デイヴィス(b)の中々ワイルドな容赦なき攻め立て様・捲し立て様も圧倒的。
1. Aztec アズテック
2. Tin Tin Deo ティン・ティン・デオ
3. Togyu (Bull Fight) 闘牛
4. Dear Old Stockholm ディア・オールド・ストックホルム
Kenny Barron (electric piano on 1, 2, 3) (piano on 4)
Richard Davis (bass)
Roy Haynes (drums) (vocal on 2)
Teruo Nakamura (percussion on 1, 2, 4) (producer)
1973年10月21日米ニューヨークのSound Ideas録音
(STEREO)
レーベル:
Sony Music
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国内制作CD(極HiFiCD/音匠レーベル仕様)