PONY CANYON
★高田英男による Sensibilities 録音ストーリー(一部抜粋)
ピアニスト川上さとみの音楽を初めて体験したのは都内のライブハウスだった。
透明感のあるクリアーな美しいピアノの響きに感動!私自身がこの音色& 響きを何処まで表現出来る
のか、正直凄いプレッシャーを感じながら帰宅する。その後、さらに深く彼女の音楽を体感したく、レコーディ
ングリハーサルに2日間立ち合いをする。各楽曲の進行をメモしながらリハーサルを見学していたが、突然
彼女から「そんな離れた場所でなく、もっと近くで生音を聴いてくれますか」と指摘され、ドキっとした。
彼女は生のピアノ演奏を間近で聴いてその感覚的な響きを体に入れてほしいとの思いであるが、私はダイ
レクカット録音にそなえ、曲の進行を先に理解しているところであった。しかしながら彼女の音楽への情熱・
意志の強さを改めて感じ、そっと背筋を真っすぐに伸ばす。
★SACD マスタリング
2024 年 7 月、キング関口台スタジオにてマスタリングエンジニア、辻裕行氏により SACD マスタリング作
業を行う。DSD11.2MHz/1bit 録音マスターからの SACD マスター制作である。ダイレクトカット・レコー
ディングの音源(4 曲)と SACD/CD 用に録音した(4 曲)の合計 8 曲入りアルバムとなる。ダイレク
ト 2CH 録音のマスター音源の音質を、出来るだけそのままに各楽曲の音量レベルを調整し、楽曲により
ピークレベルの補正と音質補正の為にアナログ機材を使い対応する。
曲間のタイムを決める時にもスタジオのモニター音量を何処まで大きくして決めるかなど、それぞれの感性が
違う中で山下ディレクターが曲間を提案し、それぞれ意見を交わし最終的には川上さとみが決定する。
サブスク時代、曲間は関係ないとも言われるが、曲間まで音楽として拘る姿勢にチーム川上さとみの一体
感を感じた。CDマスターは通常、PCM192kHz/24bit マスター音源から作成するが、ダイレクト 2CH
録音をした今回の DSD11.2MHz/1bit マスター音源は、ピアノ・ウッドベース・ドラムの中低域の芯が安
定し、録音時の音質イメージに非常に近い為に、最高の音質で CD も創りたいと思い、
DSD11.2MHz/1bit マスターから、ダイレクトに PCM44.1kHz/16bit の CD マスターを作成することに
した。