★ヘンリック・グンデ(p)(1969年デンマークのテアボー生まれ)&イェスパー・ボディルセン(b)(1970年デンマーク-シェラン島のハスレヴ生まれ)&モーテン・ルンド(ds)(1972年デンマーク-ユラン半島のヴィボー生まれ)というデンマークのオールスター・トリオによる、これまで配信オンリーのリリースだった、バラードや歌物をメイン・レパートリーにごく平易で優しい妙演が聴かれる人気シリーズ:"Moods"2連作が世界初LP化→これはその第1集(※但しLP化にあたって1曲オミットし、曲順も替えてある)。2022年Mingus Records作品。
★繊細で端正な一つ一つの指使いからきららかな光沢が放たれるかのような瑞々しいクリスタル・タッチのピアノが、メロウ・テンダーにロマンティシズムを映しながら同時にブルージー&バピッシュな吟醸感やグルーヴをもその内側に自ずと体現する、ニュアンス濃やかでいて絶妙にバランスのとれたリリカル・バップ・ピアノの理想形とも云うべき節度と落ち着きあるメロディック・スインギー・プレイを、流れるような滑らかさ・優雅さをもってセンシティヴに紡いで、詩情の深淵を見る思いの幽遠なる魅力を放ち、また清新で爽やかこの上なしの感動を齎し、肉太くヘヴィーウェイトにウネり波打つベースや神妙な息遣いで研ぎ澄まされた打撃音を繰り出すドラム、らのいずれも機微に富んだ躙り寄るが如きサポートも実に的確にツボにハマりきった、全編抒情派ピアノ・トリオの鑑たるエレガントかつグルーヴィーな快演が貫かれてフレッシュに心洗われる会心打内容。
★歌心とスイング感を何より大切にし、インティメイトな寛ぎの中にも適宜意表を衝くスリル&サスペンスを多分に含んだ、何げにメリハリ充分の基本はあくまでポエティシズム重視・リリシズム重視の殊の外美しい旋律&ハーモニーを持つアクティヴ・ロマネスク妙演、が優しくも背筋の伸びた凛々しさで展開してゆき、雄弁でスピリチュアルなボディルセン(b)やシャープなキレ味で迫るルンド(ds)両人の存在感満点の活躍も大いに光るが、しかしやはり先ずもって一座の花形:グンデ(p)の、折り目正しくデリケートそれでいてしっかり勢いを感じさせる果敢なアドリブ奮戦〜語り口が一切ブレのない鮮麗なる冴えを、煌めきを見せていて卓抜だ。
→グループ全体のアウトラインはヨーロッパ耽美派ピアノ・トリオの典型、要するにエヴァンス・トリオ辺りを出発点としつつそれを現代欧州流に翻案した風な趣があるが、グンデ(p)の演奏にはユーロ系独特のデリカシーや浪漫傾向、唯美性、アート色も勿論認められるものの、それと同等ぐらいの割合でアメリカン・ハード・バッパー気質っぽい粋渋吟醸テイストが確固と顕れている、という、クール・フォーキーかと思えばコク旨ファンキーにも裏返るそうした均衡のとり様にこそ、誰にも似ていない独自の妙味がある。
Side A:
1. Blame It On My Youth
2. My Funny Valentine
3. Kärlekens ögon
4. Bye Bye Blackbird
Side B:
1. Moon River
2. I Will Wait For You
3. Softly As In A Morning Sunrise
4. Fanølyng
Henrik Gunde (piano)
Jesper Bodilsen (bass)
Morten Lund (drums)
2022年Mingus Records作品
レーベル:
寺島レコード
※限定枚数に達しました時点で販売終了
在庫有り
国内制作・数量限定LP