★云わずと知れた本邦現代フリー・ジャズの突撃隊長:坂田明(as,B♭cl,vo)(1945年広島県呉市生まれ)が北欧の辣腕リズム陣と組んだ人気トリオ・グループ:Arashi(嵐)の、本盤は、坂田とは1970年代の山下洋輔トリオでのバンドメイトであった他、山下トリオ以降も幾度も共演を重ねてきた盟友=ドラムの鬼神:森山威男(1945年東京都品川区生まれの山梨県勝沼町=現・甲州市育ち)が加わった4人体制による、2019年2月18日名古屋のライヴハウス「得三」で実況録音された燃え上がる迫真ライヴ編。
★全身を振り絞って狂おしくも屈強に絶叫し続けるかのようなアルトサックスの、アブストラクトとスピリチュアルの両極端を往来する逞しく猛々しき咆哮が音場の前面で奔放に暴れ回り、雄渾にしてちょっと悲壮感も仄めく疾走パワー満点な悔いなき完全燃焼の華を鮮烈に、堂々と成し、また怪しく唸り慟哭しつつ激しいエモーションを歌う風なヴォーカルも抜群の好アクセントを形作る一方、怒涛の如くけたたましくワイルドに押し寄せるドラムの容赦ない圧倒的ドコドコ体当たりダイナミズム攻勢や、情魂味こってりにウネり撥ね躍る肉太ベースの敏捷な大立ち回り、もフロントの花形アルト(またはB♭クラリネット)に決して引けを取らずリアル・スリリングに拮抗しきった、全編真剣勝負な即興バトルの正に"嵐"の渦中に気持ちよく浸りきれる、スカッと壮快な敢闘内容。
★曲らしさと生々しいフリー・インプロ傾向の兼ね合いも絶妙な、主役の任を担う坂田(as他)の不屈のタフネスみなぎったパワー・ミュージック主義の権化たる奮戦に象徴される徹頭徹尾真っ当この上ないフリー・ジャズ熱演!、がひたすら勇ましく力強く展開してゆき、坂田がクラに持ち替える辺りでは幾分か思索性や瞑想性あるいはシュールなサスペンス・ミステリー色が増す感もあるものの、大方は激烈さ・強靭さを身上とした格闘技的アクションの爆発ぶりで清々しく興奮させてくれる。
★最大の聴きどころはやはり坂田と森山の真っ向対決か、→心身とも絶好調でポジティヴな覇気に溢れた坂田の野獣っぽい吠えっぷりと、全く衰えなくキレ味シャープで変幻自在の(しかもばっちりドスの利いた)ゲリラ的遊撃猛襲を掛けてくる森山の嬉々とした暴れ様、のデッドヒート場面には往年の山下トリオを彷彿とさせる超フレッシュな気魄・気合がほとばしりまくっていて聴いているこちらも愉しさ一杯で、そうした旧友同士のやりとりで大いに歓喜させる反面、熱いスピリチュアリティ全開で猛り躍るBerthling(b)や、パーカッションにも転じつつ鋭敏かつカラフルに迫るニルセン=ラヴ(ds,per)、らの燃え具合もアザやかに光っていたりと、道程は一瞬も聴き逃せない卓越した名場面の連続。
1. Colour Flames (9:55)
2. Man Came From Strange Kiswahiri (10:56)
3. Clay (15:40)
4. Rakuda (Camel Walking) (15:09)
5. Ondo No Hunauta (11:43)
6. Hamabe No Uta (5:57)
坂田 明 Akira Sakata (alto saxophone except 4) (B♭clarinet on 4) (vocal on 2, 5)
Johan Berthling (double bass)
Paal Nilssen-Love (drums) (percussion on 2, 3)
森山 威男 Takeo Moriyama (drums)
2019年2月18日名古屋、ライヴハウス"得三"でのライヴ録音
レーベル:
Trost
在庫有り
輸入盤デジパック仕様CD