★Bada Beep Music、Cellar Live、Mack Avenue等よりの諸作に好評を集めてきた、アメリカ新世代の伝統派ピアニスト:エメット・コーエン(1990年米フロリダ州マイアミ生まれ)の、Mack Avenueでの3作目となる本盤は、ベース&ドラムとのピアノ・トリオを基本メインに、一部管楽器やパーカッションのゲスト陣も加わって来つつの一編。
★端正でスイスイ滑らかに流れるようでありながらシャープなキレや弾みを見せるところもある、力は八分目のゆとりと節度を感じさせる美麗にして表情豊かな生鮮タッチのピアノが、ファンキー・バップ的な軽涼寛ぎフレージングやエヴァンス・ライクなマイルド風味のロマンティシズム表現、温故知新っぽいラグタイム調やブギウギ調といったクラシカルなアプローチ、などを的確に使い分け、織り交ぜてメリハリある劇的ストーリーラインを形作る、トータルとしてはダウン・トゥ・アース&バピッシュ・グルーヴィーなオーソドックス街道から決して外れない、明快で旨味溢れるメロディック・スインギー・プレイをノリよく綴って爽やかな魅力を放ち、ベース&ドラムの堅実でいて芸の細かい達者なサポートや、ゲスト参入する管楽器陣の"ハード・バップの権化"たる雄々しき吹奏、もそれぞれおいしく際立った、全般にモード系バップ・ジャズの正統らしい娯楽指向の邁進が続いてスカッと胸躍らせてくれる会心打内容。
★歌心とスイング感を何より大切にした、ブルース・フィーリングも潤沢に備える人情派エンタテインメントの鑑!とも云うべきド真っ当なハード・バピッシュ快演、があくまで簡潔かつ洒脱に展開してゆき、ノリス(b)やプール(ds)の堅牢性と律動力に長けた躍進、ファーンズワース(ds)の強力にスイング・パワーを高める敏活至芸、にガッチリ頼もしく支えられながら、コーエン(p)の終始マイペースで正攻法に徹したアドリブ妙技が小粋に、軽やかにスッキリと吹き抜ける青嵐の如く冴え渡っていてゴキゲンだ。
→全体を通して手癖っぽく頻繁に現れるのは先ずR・ガーランド・タイプの玉転がし的ブロック・コードもしくは軽みある単音を使ったリラクシングなファンキー節、そして幾分トラッド寄りの歯切れよくハズむブルージー・フレーズであり、これにより明るく晴れやかで愉しい演芸会ムードが高まり理屈抜きで大いにノセられるが、その一方でマッコイやハンコックを十全に研究したと思しきモーダル・アグレッシヴな敏捷アクションであったり、エヴァンス辺りに通じるところのあるメロウで耽美的な哀愁描写であったり、のモード手法を活かした転回も豊富に盛り込まれて道程には清新な変化がつけられ、進行テンポのよさとも相まって一瞬も飽きさせない。
★陰影豊かでややビターなコクを呈したぺニコット(ts)の肉太芳醇ブロウを筆頭に管楽器勢が加わるトラックでの、ハード・バップ系ブローイング・セッションとコンポジション物を合体させたような独自の趣も中々にユニーク。
↓CDの収録曲です。LPは判明後、更新致します。
1. Lion Song (4:55)
2. Surrey With The Fringe On Top (5:02)
3. Vibe Provider (6:31)
4. Unblock The Love (4:33)
5. Henei Ma Tov (4:01)
6. If This Isn't Love (4:06)
7. Everlasting (6:10)
8. Time On My Hands (4:21)
9. Emmet's Blues (3:21)
Emmet Cohen (piano)
Philip Norris (bass)
Kyle Poole (drums on 1-4, 8)
Joe Farnsworth (drums on 5, 6, 7, 9)
Bruce Harris (trumpet on 3, 4, 9)
Frank Lacy (trombone on 3, 9)
Tivon Pennicott (tenor saxophone on 3, 4, 9)
Cecily Petrarca (koshkah = percussion on 3)
2024年1月2-3日米ニューヨークシティのSear Sound録音
レーベル:
Mack Avenue
御予約商品
輸入盤LP
入荷予定時期:2024年8月下旬 受注締切:2024年7月14日
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