★すっかり貫禄な現代正統派アルトサックスの第一人者:ヴィンセント・ハーリング(1964年米ケンタッキー州ホプキンズヴィル生まれ)が新たに立ち上げた、ジェレミー・ペルト(tp)、ウェイン・エスコフェリー(ts)、ポール・ボーレンバック(g)、デイヴィッド・キコスキ(p)らとの3管コンボ・プロジェクト=Something Else!による"ソウル・ジャズ"を徹底追求したアルバム第一作、=NYCスモーク・ジャズ・クラブでのライヴ編。
★キュッと絞りの利いた張りとキレある精悍トーンでダウン・トゥ・アース&スウィンギンに哀歌を綴るアルトを筆頭に、ピリッと凛々しく背筋の伸びたトランペットや、野太い吹音で大きく渦を巻くゴツめの重厚テナー、粋で渋くもコク深いギター、パッショネートかつファンキーなピアノ、らが次々と千両役者っぽく現れてはアジな見せ場を繋いでゆく、概ね"ブルース"に特化したハード・バップの理想形とも云うべき、色彩感と旨みに満ちた吟醸熱演が晴々朗々と愉しげに続いて味わいも豊かにスカッと胸躍らせてくれる白眉の会心打内容。
★アルバム・タイトルに偽りなく漆黒のソウル・フィーリングとノリノリのグルーヴ感に貫かれた、大衆派活劇エンタテインメントの鑑!たるド直球のブルージー・ハード・バップ大会(R&B調とかファンク調とかもある)が嬉々溌溂と歯切れよく、開放感をもっておおらかに展開してゆき、和気あいあいで風通しもよさそうなひたすらブルース命の単純明快メロディック・グルーヴィー邁進が決め込まれる中で、何げにピタリと息の合った精緻でカラフルなアンサンブルの妙も随所に際立ちつつ、各人の腰を据えて伸び伸びと全力を揮いきった歌謡性とブルース魂の塊のような、しかも簡潔によくまとまった(構成された)ソロ活躍が抑揚豊かで濃密な盛り上がりを呈してゴキゲンだ。
★ハーリング(as)の、アーシーなブラック・ソウルの権化然とパンチのある猛ハッスルぶりを見せる、ノリにノッた勇躍の様が先ずはダントツのイナセ映えを示している他、ペルト(tp)の十全に練られ考え抜かれた結構理知的な立ち働きが滅法カッコよかったり、エスコフェリー(ts)の「豪快な泥臭さ」を一手に引き受ける風な唸り吠えっぷりが頼もしかったり、ボーレンバック(g)のオーソドックスなブルージー・バップ文脈と半ロック的ブルース解釈を上手く使い分けたドラマティック・プレイが好アクセントを成していたり、キコスキ(p)の徹頭徹尾マイペースを崩さずソリッド&スクエアーな殺陣っぽい立ち回りをほぼ貫いた硬派奮戦が確たる抑え役を担っていたりと、ソロ・リレー・コーナーは一瞬も耳が離せない充実名演・豊饒場面の目白押し状態。
1. Filthy McNasty (Horace Silver) 4:56
2. Too Blue (Stanley Turrentine) 7:55
3. Mean Greens (Eddie Harris) 4:05
4. The Chicken (Pee Wee Ellis) 4:57
5. Driftin' (Herbie Hancock) 7:05
6. Slow Drag (Donald Byrd) 7:23
7. Strasbourg / St. Denis (Roy Hargrove) 5:34
8. Naima (bonus track) (John Coltrane) 8:57
Vincent Herring (alto saxophone)
Jeremy Pelt (trumpet)
Wayne Escoffery (tenor saxophone)
Paul Bollenback (guitar)
David Kikoski (piano)
Essiet Essiet (bass except 4, 8) (electric bass on 4, 8)
Otis Brown III (drums)
2024年2月26日米ニューヨークシティ-Smoke Jazz Clubの“Daylight Session”におけるライヴ録音
レーベル:
Smoke Sessions
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三つ折りデジパック仕様CD
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