★バークリー音大に学び(2015年卒業)、ニューヨーク・シーンで活躍する福岡出身の新世代ドラマー:森智大(1992年生まれ)の、リーダー・アルバム3作目となる本盤は、ベニー・ベナックIII(tp,vo)や寺久保エレナ(as,fl)らの精鋭陣を迎えた小コンボにストリングスも加わって来つつの自作曲集。
★鋭敏かつ重厚に烈しく地を震撼させるかの如きドラムのダイナミック轟鳴にハッパをかけられながら、ピリッと凛々しく背筋の伸びたシャープネスみなぎるトランペットや、アグレッシヴにウネり猛るアルト、粛々とスクエアーな殺陣の型っぽい立ち回りを貫くピアノ、らがカラフルで華やかそしてテイスティーな見せ場を繋いでゆき、度々現れるストリングスも荘厳でエレガントな半チェンバー的彩りを魅力たっぷりに添えた、トータルなアウトラインとしては現代モード系ハード・バップの正統らしいイメージの、ブルース・テイストにも富むストレートアヘッド体質そうな音場が形作られて大いにノセ、また芳醇な旨味を堪能させてくれる好投内容。
★基本は至ってオーソドックスな今日流メインストリーム・ジャズの一典型を示した正攻法勝負のハード・バピッシュ熱演、が歯切れよく精悍げに展開され、小川慶太のパーカッションが加わると適度にラテン・グルーヴ感が醸成され、ストリングスが入ってくると室内楽風のたおやかさが齎される、といった具合に変化〜メリハリ充分で清新味の途切れない道程だが、その根幹はあくまでハード・バップであるというコアの部分には一切ブレるところのない、意気軒昂でポジティヴな行き方が続く中、リーダー:森(ds)のソロイスト達を上手く刺激し最良面を引き出す風な何げに芸の細かいナヴィゲートに触発されつつ、花形役のベナックIII(tp)や寺久保(as,fl)らの腰の据わったアドリブ奮戦が中々豊饒なる盛り上がりを呈して壮快だ。
★ベナックIII(tp)の、生粋バッパー&ブルージー・スインガーの本領を遺憾なく全開させた晴々朗々の敏活ブロウが確固としてイナセげに冴えており、一方寺久保(as,fl)の、アルトでは音色をキンキンに尖らせながら攻めたアーシー・アクション咆哮を炸裂させ、フルートでは一転して柔和な清涼感とリラクゼーションに満ちたリリカル・プレイで心地よく憩わせる、というドラマティックな覇気ある活躍も好調、加えて山中(p)の、抑え役としてバップ・イディオムやモード・イディオムに真っ当に則ったダイナミズム表現に揺るぎないところを見せる反面、時折繰り出すファンキー節の粋渋感がまた絶妙だったりと全編に渡り余情豊かな妙味を発揮、といった風でソロ・コーナーは超おいしい聴きどころの連続で◎。
1. Genesis 7:07
2. Coast 5:43
3. Prana 6:17
4. Pedalada 4:53
5. Let Me Stay 7:01
6. Osterville 5:48
7. Hazy Game 5:15
8. Raccoon 7:06
9. Heights [bonus track] 2:39 (strings only)
森 智大 (drums except 9)
Benny Benack III ベニー・べナックIII (trumpet on 1, 3, 4, 5, 8) (vocal on 2)
寺久保 エレナ (alto saxophone on 1, 3, 4, 5, 7, 8) (flute on 6)
山中 みき (piano except 9)
Russell Hall ラッセル・ホール (bass except 9)
小川 慶太 (percussion on 2, 4, 5, 6, 8)
亀井 友莉 (violin on 2, 5, 6, 8, 9)
林 周雅 (violin on 2, 5, 6, 8, 9)
三品 芽生 (viola on 2, 5, 6, 8, 9)
村岡 苑子 (cello on 2, 5, 6, 8, 9)
2023年11月30日米ニューヨーク州マウント・ヴァーノンのOktaven Audio、2023年12月20日東京のPastoral Sound録音
レーベル:tomohiro mori music(自主製作)
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デジパック仕様CD