★進取性にも富むユニークな突出個性派で鳴らしたブラジルの新世代ピアニスト:アマーロ・フレイタス(1991年ブラジル北東部ペルナンブコ州レシフェ生まれ)の、今作は、自身のピアノ〜キーボード等の他、フルート、ハープ、ギター(ジェフ・パーカー)、ベース、ドラム(ハミッド・ドレイク!)らを交えつつの変動体制による自作曲集。
★妖しいパーカッションあるいはトリップ感溢れるマイルドな電子的ノイズが飛び交う中で、打楽器調であったり哀歌を奏でるようなメロディック傾向であったりのピアノによる、アブストラクトと云うよりもイリュージョナルな、聴く者を夢幻の世界へ心地よくいざなう半メディテイティヴ・プレイが精緻鮮明に鳴り響いて、一種独特のアンビエント・ミュージック的空間を現出させた正にワン&オンリーな妙演内容。
★パーカッシヴ奏法が嵩じてちょっとフリー系っぽい激烈な抽象アクション大会になるところも一部にはあるものの、全体としてはフリーとは一線を画すフレイタス独自の"瞑想ジャズ"とも云うべき世界観が貫かれており、ピアノ演奏に顕れるニューエイジ路線にも通じる幻想情緒や眩惑美と、パーカッション等によるエキゾティックなワールド・ミュージック色とが相まって、今までにない独創性満点のポエティック音世界が創出されていて、そうした中で繰り出されるフレイタスの「コンテンポラリー内省派」的な繊細ピアノ即興や、ゲスト参入するJ・パーカー(g)、S・ハッチングス(fl)らのスピリチュアル演奏が、瑞々しくも幻の如く儚げに見せ場を飾って、何とも云えぬ深い余韻を残す。
★フレイタスの、少なくとも本盤に限ってはハード・バップともボサノヴァとも全く異なる、ちょっと不思議でミステリアスなインナートリップぶりを粛々とセンシティヴに見せていて鮮度抜群の感動があり、唯一の例外トラックと云えるH・ドレイク(ds)&S・ハッチングス(fl)&A・ソメイラン(b)との(多重録音は恐らく一切なしの)リアル生カルテットによるB-4での、バピッシュ・ラテン・タイプのスタイルに乗せたストレートアヘッドなモーダル・ダイナミック・アクション技のテイスティー・グルーヴィーさがまた秀逸だったり、といった辺りも上手い好転回アクセント。
★猛烈に突撃スイングするドレイク(ds)や、エスニック調のパッショネート吹奏に徹したハッチングス(fl)、端正に幻覚メランコリーを映すパーカー(g)、らの助演も各々アザやかにツボにハマッて◎。
Side A:
1. Mapinguari (Encantado da Mata)
2. Uiara (Encantada da Água) - Vida e cura
3. Viva Naná
4. Dança dos Martelos
5. Sonho Ancestral
Side B:
1. Y'Y
2. Mar de Cirandeiras
3. Gloriosa
4. Encantados
Amaro Freitas アマーロ・フレイタス (piano, electric piano, keyboard?, percussion?, exotic flute?, vocal?, electronic noise?, bass?)
Shabaka Hutchings シャバカ・ハッチングス (flute on B-1, B-4)
Brandee Younger ブランディー・ヤンガー (harp on B-3)
Jeff Parker ジェフ・パーカー (guitar on B-2)
Aniel Someillan アニエル・ソメイラン (bass on B-4)
Hamid Drake ハミッド・ドレイク (drums on B-4)
ブラジル-レシフェのCarranca Studio, イタリア-ミラノのMaxine Studio録音
(additional recording:於・米カリフォルニア州ロサンジェルス&NYブルックリン)
2024年作品
レーベル:
Psychic Hotline unimusic
在庫有り
国内仕様輸入盤(日本語帯付・見開き)LP