★テナーサックスを始め、フルート、オーボエ、各種民族楽器をも操るオールラウンドなマルチ・リード奏者であり、曲や場面に応じて巧みに楽器を使い分けるカラフルなトータル・サウンド構成に独自の妙味を発揮、根はあくまでモダニッシュ・グルーヴィーなハード・バッパー気質だが、しかしハード・バップの枠にとどまらず、快適なグルーヴを強調したワールド・ジャズ路線、フュージョン、ニューエイジ・ミュージック、とその射程は全方位に及び、残してきたレコーディングも膨大、本国アメリカではシングル盤を連発できるほどの幅広い大衆的支持を得ていた(グラミー賞;ニューエイジ部門の受賞歴あり)個性派名匠:ユーセフ・ラティーフ(1920年米テネシー州チャタヌーガ生まれ、2013年マサチューセッツ州シューツベリーで死去)の本盤は、ケニー・バロン(p)、ボブ・カニンガム(b)、アルバート・ヒース(ds)とのカルテットを率い、1972年7月19日フランス-アヴィニョンにある劇場で行なったコンサートの模様を捉えた未発表ライヴ音源、を初ディスク化した発掘アルバム。
★キュッと引き締まった中に微妙なユルさや粘着感を覗かせる辺りに何ともイイ"味"のある肉厚トーンのテナーが、エネルギッシュ&アグレッシヴでありレイジー・スモーキーでもある含蓄に富んだダイナミック・ブロウを豪快敏活に轟かせて雄渾たる魅力を放ち、熱い疾走感一杯に猛々しく突進するピアノ以下リズム隊の中々煽情力抜群の大プッシュ攻勢もスリルとノリを的確に高めた、全体を通じバラードやブルースなども含めてこの時代のストレートアヘッド・ジャズならではのスピリチュアルな昂揚感に生々しく包まれる、「哀愁とガッツ」みなぎった胸のすく会心打内容。
★硬派で質実剛健な漢たる骨太グルーヴがワシワシ・ガンガン押し寄せる一方、明朗な歌心や吟醸的ブルース・フィーリングも潤沢に備わった、娯楽活劇調モード系ハード・バップの真髄を遺憾なく示す雄々しきテイスティー・スウィンギン熱演が実に強靭に展開してゆき、ライヴ特有の加熱沸騰的盛り上がりや粘っこく迫る燃焼ぶり、疾駆突撃の勢いも好もしい、心弾み胸高鳴るスカッとした道程の中で、ラティーフ(ts,fl)やバロン(p)の徹底してアツく燃え盛る肝の据わったアドリブ奮戦が、超エキサイティングに見せ場を競い合って全く壮快だ。
★ラティーフ(ts,fl)の、テナーでは激烈なエモーションをタフガイらしい逞しさ・屈強さをもって精悍軒昂に体現する大立ち回りの雄叫び咆哮で、迫真力も満点に大いに興奮させてくれ、フルートでは清涼感とともにアーシーなコクのある唸りを上げてこれまた沸々と胸躍らせる、という、その精緻な技巧にしっかり裏打ちされたブラック・ソウル〜ブラック・スピリチュアリティ溢れる結構男臭い吹鳴のあり様がこってり濃い旨味と揺るぎない説得力を堂々揮いきっており、かたやバロン(p)の、ラティーフに火をつけバンド全体を燃え立たせる風なこちらもスピリチュアル色濃厚なる全力激走の態(ごくシンプル・ストレートに"烈火の如き熱血モーダル・ピアノの化身"となっている場面も多々あって、そういう放火魔もとい火つけ役ぶりには実に気持ちよく高揚させられる!)も痛快で、中でもわりかし軽妙小粋なR&B調で滑り出すブルース・ナンバーのDisc1-#3やDisc2-#1での、このバロンとラティーフ二人の暴れ倒し大攻勢により音空間が容赦ない強行突破的スピリチュアル・ジャズの世界と化す、辺りがとりわけ愉しい。
★アルコ弾きで芳醇なウマみ濃さを醸成するカニンガム(b)や、意表を衝いたインディアン・フルート・プレイのエキゾティックさがインパクト強烈なヒース(ds,Indian-fl)、らの気合の入った活躍も光る。
Disc 1:
1. Inside Atlantis (Kenny Barron) 12:30
2. A Flower (Kenny Barron) 8:10 (fl & p duo)
3. Yusef's Mood (Yusef Lateef) 17:22
4. Lowland Lullaby (Albert “Tootie” Heath) 3:55 (Indian-fl & b duo)
Disc 2:
1. Eboness (Roy Brooks) 11:54
2. I'm Getting Sentimental Over You (Georges Bassman - Ned Washington) 12:32
3. The Untitled (Kenny Barron) 25:49
Yusef Lateef (tenor saxophone, flute, soprano saxophone, 怪しげなエスニック系reed管:Disc2-3)(except Disc1-4)
Kenny Barron (piano except Disc1-4)
Bob Cunningham (bass except Disc1-2)
Albert "Tootie" Heath (drums except Disc1-2, Disc1-4) (Indian flute on Disc1-4, possibly Disc2-3) (possibly percussion on Disc2-3)
1972年7月19日フランス-アヴィニョンのCloître des Célestinsでのライヴ録音
レーベル:
Elemental Music
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2024年4月下旬入荷予定