★1950年代から長年に渡って、デュオ、トリオ、カルテットなど様々な形態でライフワーク的に共演〜コラボレーションを重ね、数多くの優れたレコーディングを残した、マル・ウォルドロン(p)(1925年米ニューヨーク州ニューヨーク市生まれ、2002年ベルギーのブリュッセルで死去)とスティーヴ・レイシー(ss)(1934年米ニューヨーク生まれ、2004年米マサチューセッツ州ボストンで死去)の盟友コンビの、本盤は、レジー・ワークマン(b)&アンドリュー・シリル(ds)を伴ったカルテット編成による、1995年9月30日ベルギー-アントワープで行なったコンサートの模様を捉えた未発表ライヴ音源の発掘ディスク化。
★ドス黒い陰影を帯びつつ鋭利に突き刺さる刃のようなソリッド・タッチのピアノが、何かに憑かれたが如く執拗にアグレッシヴかつメディテイティヴな硬質スウィンギン・プレイを半ば反復運動っぽく繰り出して、濃厚なる暗黒の情念を高密度に映し、或いは燻り出し、一方、尖りと丸みを併有したニュアンスに富むトーンのソプラノサックスが、飄々と軽やかに浮遊する風な行き方の中にしっかり濃くシリアスなスピリチュアリティを滲ませる独特のメランコリック吹奏で、中々悠然と拮抗、またキレ味シャープにズバリ急所を衝いてくる感じのドラムや、こってりコク深く情魂を語り尽くしながらウネり躍るベース、らの機略縦横にして律動感抜群の遊撃ぶりもガッチリ頼もしくスリルとグルーヴを強化しきった、全般にダークではあるが旨みに溢れたワン&オンリーのリリシズム世界をじっくり愉しませる、ちょっと凄味めいた気魄のみなぎった敢闘内容。
★極めて暗く面持ちは険しげなもののその根っこには独自の歌心や詩情が確固と息づき、リズム・セクションがあくまで真っ当にスイングしていることやコンポジションを重んじる姿勢などもあって、即興色は濃いけれど所謂フリー系とは一線を画した(但し後半の一部ではフリー色が強まるところもある)、ハードボイルド・ロマネスク熱演が重厚さをもって展開してゆき、ワークマン(b)やシリル(ds)の空間底部から突き上げてくるような敏活ダイナミズム攻勢に上手く煽られ、触発される恰好で、ウォルドロン(p)とレイシー(ss)の、ともにどこまでもマイペースで磨き抜いた得意ワザを揺るぎなげに嬉々として披露する風な、結構和気あいあいのアドリブ合戦が迫真力満点の盛り上がりを呈して壮快だ。
★ウォルドロン(p)の、甘さ控えめでグルーミーながらブルース・フィーリングやブラック・ソウルを一瞬も絶やすことのない鋭角的スピリチュアル弾奏がさすがの濃度で芳醇なる妙味を放っており、かたやレイシー(ss)の、ウォルドロンの硬質骨太さに比してより無重力っぽく宙を漂うが如きいい意味でちょっと摑みどころのない遊泳感を巧まず堅持しつつ、しかしピリッとしたスパイシーな憂愁フレーズを軽々炸裂させる、例によってレイシー流イマジネーションが変幻自在の絶好調ぶりを示したその流麗インプロヴィゼーションもまた鮮やかに冴え渡っていたりと、そうした、各々百戦練磨の"ウォルドロン節"と"レイシー節"がごく事も無げに最良の魅力を揮っており全く見事。
CD 1:
1. What It Is (Mal Waldron) 17:14
2. Epistrophy (Thelonious Monk - Kenny Clarke) 6:05
3. Longing (Steve Lacy) 12:18
4. Monk's Dream (Thelonious Monk) 12:53
CD 2:
1. Variation Of Iii (Reggie Workman) 24:51
2. Medley: Snake Out (Mal Waldron) / Variations On A Theme By Cecil Taylor (Mal Waldron) 25:18
Steve Lacy (soprano saxophone)
Mal Waldron (piano)
Reggie Workman (bass)
Andrew Cyrille (drums)
1995年9月30日ベルギー-アントワープのDeSingel Arts Centerでのライヴ録音
レーベル:
Elemental Music King International
★日本語帯・解説付 (輸入盤CD)
★28Pブックレット
在庫有り
国内仕様輸入盤2枚組CD (三つ折りデジパック仕様)