★独創性溢れるコンテンポラリー・テナーサックスの最高峰にして当代随一の名インプロヴァイザー:クリス・ポッター(1971年米イリノイ州シカゴ生まれ)の、今回は、ブラッド・メルドー(p)、ジョン・パティトゥッチ(b)、ブライアン・ブレイド(ds)という最強の顔ぶれのオールスター・カルテットを率いての自作曲集(日本盤にはボーナス・トラック1曲追加)(英Edition Records原盤作品)。
★締まりとユルみが微妙に混在した中々味のあるトーンのテナーが変幻自在の滑脱さをもって渦巻きを描くような、ドライヴ感に満ちたビタースウィート風味の躍動的プレイを精悍かつ軽やかに綴って凛々しくも陰影豊かな華を悠々と成し、パーカッシヴさや幾何学性とバップ&ブルース由来のグルーヴィーさの兼ね合いが絶妙なピアノ以下、リズム隊の豪快でいてきめ濃やかでもある機動力抜群のサポートも実に的確にスリルとノリを強化しきった、全体を通じ幾分シリアスめでハードボイルドなイメージの現代流モーダル・バピッシュ・ジャズの正統らしい音世界を生鮮度満点に愉しませる、わりかしスッキリとした会心打内容。
★硬派で意気軒昂なアクションの迫真力と明快で親しみやすい歌心やブルース・テイストが黄金率で掛け合わされた、コンテンポラリー筋モード系ハード・バップの真髄たる骨太のダイナミック熱演がイキイキと敏活に展開され、リズム・セクションの、ワイルドネスとセンシビリティを併せ持ち、上手く使い分けた闊達バックアップに頼もしく支えられ、また適度に煽られながら、ポッター(ts)の、キリッと苦味走っていつつ優しい抒情面を垣間見せるところも多々ある、緩急柔剛心得た流れるような即興ワザが瑞々しい煌めきを、冴えを示して全く鮮麗だ。
→刻々変転する今日流リズミカル・ビートの上で、先ずは雄々しく逞しげな毅然たる立ち回り攻勢で聴く者をピリッと緊張させつつスリリング&エキサイティングに昂揚させ、一部バスクラやソプラノも適切に活かしてマイルドな哀愁的詩情描写にも奥行きに富んだ妙味を見せる、という、全般にしっかり年季が入っていながらも"円熟"より"清新"が勝った印象の吹鳴のあり様は誠に爽やかこの上なしで、また、バップ→ファンクの更に先にある未来派っぽい文脈と、バップ&モード&ブルースの伝統に確固と深く根を下ろした粋で渋い吟醸的アプローチ、をごく自然に表裏一体化させた芸風〜インプロヴィゼーションの懐広さ、にもさすが大いにウナるものがある。
★加えてメルドー(p)の、あくまでポッターを主役として立てた上で得意のメカニカル技や正統的モーダル・バピッシュ手法を局面に応じ巧緻に活かしきった、何げに劇的な助演も見事。
1. Dream Of Home ドリーム・オブ・ホーム (5:39)
2. Cloud Message クラウド・メッセージ (7:05)
3. Indigo Ildikó インディゴ・イルディコ (7:18)
4. Eagle's Point イーグルズ・ポイント (7:35)
5. Aria For Anna アリア・フォー・アンナ (6:14)
6. Other Plans アザー・プランズ (7:40)
7. Málaga Moon マラガ・ムーン (8:28)
8. Horizon Dance ホライゾン・ダンス (6:39)
9. All The Things You Are オール・ザ・シングス・ユー・アー (9:34) (solo ts) (日本盤ボーナス・トラック)
Chris Potter クリス・ポッター (tenor saxophone except 5) (bass clarinet on 3) (soprano saxophone on 5)
Brad Mehldau ブラッド・メルドー (piano except 9)
John Patitucci ジョン・パティトゥッチ (bass except 9)
Brian Blade ブライアン・ブレイド (drums except 9)
米ニューヨーク、ブルックリンのザ・バンカー・スタジオ(The Bunker Studio)録音
2024年英国作品
レーベル:
Universal Music Japan (英Edition Records原盤)
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国内盤SHM-CD