★デンマーク・シーンを代表するオールラウンド・モダン・ベースのヴェテラン重鎮:マッズ・ヴィンディング(1948年デンマークのコペンハーゲン生まれ)の、今作は、イタリアの人気ピアニスト:ダド・モローニ(1962年イタリアのジェノヴァ生まれ)&スウェーデン出身の敏腕ドラマー:ニクラス・カンパニョル(1973年スウェーデンのヴェクショー=Växjö生まれ)、と組んだトリオによる、2018年9月20日コペンハーゲンの名門クラブ:Jazzhus Montmartreで公演を行なった折に録られていたライヴ音源の初ディスク化。
★バネの利いた太いウネりの中に豊かな温もりや濃やかなニュアンスを覗かせる情味満点のベース鳴動に頼もしく支えられ、また触発されて、キレのいい鋭角性や硬質感と滑らかに流れるような優美さや折り目正しさを併せ持った透徹豊潤タッチのピアノが、明朗で洒脱な歌心に溢れ、ソリッドな凹凸的ダイナミズムも充分の躍動型リリカル・プレイを溌溂と綴って、テイスティーにして清々しく胸のすく爽やかな華を成し、芸の細かいカラフル&スリリングなドラムの遊撃や、随所に浮かび上がってはこってりコク深い雄弁な唄いっぷりを見せるベースのソロ、もそれぞれしっかりアジな魅力を添えた、全編現代流ハード・バップ系ピアノ・トリオの鑑とも云える正攻法勝負の進撃が続いて、スッキリと愉しませる会心打内容。
★親しみやすいメロディーの美や詩的風趣と力強く歯切れのいいダイナミックなスイング感、に潔く主眼を絞った、徹頭徹尾オーソドックスにストレートアヘッド街道を突き進む抒情派アクション・タイプの娯楽活劇的快演、が嬉々として意気軒昂に展開され、ひたすらド真っ当・ド直球な揺るぎない道程の中で、ヴィンディング(b)の行間含蓄に富んだ闊達にして包容力ある波打ち妙技や、キビキビした調子でシャープに斬り込んでくるカンパニョル(ds)の敏捷アタック、もばっちりグルーヴィーに際立ちつつ、一座の花形役を担うモローニ(p)の、腰を据えて伸び伸びと得意の至芸を余すところなく披露する、ごくシンプルに一ソロイストになりきった自然体のアドリブ奮戦が、スカッとした晴朗な隆盛ぶりを呈して全く壮快だ。
→ハンコックやマッコイを消化したスケール雄大な力学的大立ち回り攻勢と、エヴァンス以降のリリカル派ピアノの正統らしい耽美的ロマンティシズム表現、を二本柱とし、ひたすら分かりやすく輪郭も鮮明に歩を進めるメロディック・スウィンギン弾奏が絶好調の冴えを、キレを示しており、殊にバラード或いは寛ぎ小唄的な局面における、しっとりとした繊細なエレガンスや粋で瀟洒なウィットっぽさに軸足を置きながらも、同時に本性然と殺陣志向っぽいある種の武骨さが顔を出す、辺りの"根はハード・バッパー"らしい個性の揮われ様にとりわけ好もしい妙味がある。ウォームで芳醇なドライヴィング躍動を悠々とキメるヴィンディング(b)の濃い口ソロ活躍場面も格好の旨味処。
1. All Of You (11:01)
2. Quiet Yesterday (8:29)
3. Softly, As In A Morning Sunrise (9:01)
4. Blue In Green (7:51)
5. Alice In Wonderland (8:56)
6. Nature Boy (5:28)
Dado Moroni (piano)
Mads Vinding (bass)
Niclas Campagnol (drums)
2018年9月20日デンマーク-コペンハーゲンのJazzhus Montmartreでのライヴ録音
レーベル:
Storyville
在庫有り
デジパック仕様CD
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