★鍛え抜かれた圧倒的な超絶ハイテクニックと機智あるハイセンスさとで、旨味に満ちたバップ&ブルースの世界を鮮やかに、徹底してダイナミックに体現する、明快娯楽派モダン・ピアノの最高峰名手:オスカー・ピーターソン(1925年カナダ-ケベック州モントリオール生まれ、2007年カナダ-オンタリオ州ミシサガで死去)の、本盤は、レイ・ブラウン(b)&エド・シグペン(ds)との最強の"ザ・トリオ"による、1964年5月26日スイス-ルガーノのTeatro Apolloでの公演の模様を捉えた未発表ライヴ音源の初ディスク化。
★歯切れよく弾みのいい、鍵盤の"芯"を精確にジャストミートし強打する感じの輪郭もクッキリした明晰タッチのピアノが、その打鍵に微細に強弱をつけ鋭角性と滑らかさも交差させながら、歌謡的リリシズム〜ポエティシズムとバピッシュなグルーヴ感そしてブルージーな吟醸味を同時体現する、あくまで軽やかなメロディック・スウィンギン・プレイを嬉々溌溂と愉しげに綴って、アウトラインとしては極めてブルース色濃くダイナミックな力強い躍動感とノリのよさに溢れた活劇ヒーローの如き華を成し、随所に出張ってきてはウォーム&スピリチュアルな濃い口ソロをキメるウネりの利いた肉太ベースや、一人オーケストラみたく色彩感に殊の外富んだ敏捷アタックを掛けてくる遊撃ドラム、らの安定律動力抜群にして中々自己主張の強いサポートも上手い按配でアクセントを添えた、全編を通じおおらかな開放感のもと明るく晴れ晴れとした人情肌エンタテインメント指向の進撃が続いて、聴く者はスッキリ清々しく胸躍らされる会心打内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り込んだ、シンプル・イズ・ベスト、ストレート・イズ・ベストの大衆娯楽的リリカル・アクション・タイプのアーシー・バップ快演がイキイキと展開してゆき、こってりした雄弁なブラウン(b)や芸の細かい俊敏なシグペン(ds)にも適宜スポットの当てられる、メリハリ充分のフレッシュ・スリリングな道程の中で、気力もイマジネーションも清新に充実しきったピーターソン(p)の、たった一人でスケールも雄大な山あり谷ありの大河ストーリーを威勢よくも濃やかに語り尽くす、といった感じのこの上なく豊饒なアドリブ至芸が冴えに冴え渡っていて見事。
→例によって速弾きの曲芸的アクロバティカル技やテイタム直系のレトロな饒舌節なども織り混ぜながら、基本はあくまで「ファンキー・バップ」の本道を突き進む、ダウン・トゥ・アース&ソウルフルな黒い旨味に満ち満ちた小粋でイナセでちょっぴり渋い、ピーターソン流ダイナミズムも全開の醸熟フレージングが鮮麗なまでの煌めくような魅力を悠々揮いきっており、またバラードでの奥深い哀愁と繊細なエレガンスに貫かれた寛ぎプレイにも得難い妙味があって、全般に、適度なハッタリや装飾性を含んだ"演芸"傾向と"曲の、歌の本質"を衝く誠実真摯な語り口、とを絶妙のバランス配分で並立させた筆の進め様は全くアザやかで感動的ですらある。
1. Waltz For Debby (Bill Evans) 7:22
2. My One And Only Love (Robert Mellon, Guy Wood) 6:03
3. Blues For My Landlady (Oscar Peterson) 11:01
4. Con Alma (Dizzy Gillespie) 6:26
5. I Could Write A Book (Lorenz Hart, Richard Rodgers) 7:38
6. It Ain't Necessarily So (George Gershwin) 5:19
Oscar Peterson (piano)
Ray Brown (bass)
Ed Thigpen (drums)
1964年5月26日スイス-ルガーノのTeatro Apolloでのライヴ録音
レーベル:
Mack Avenue King International
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