★BrownstoneやSteepleChaseよりの過去作品に好評を集めていた、NY主流派シーン第一線で活躍するキャリア豊富な敏腕ベーシスト:ポール・ブラスガー(ブルージャー説も?)(1959年米ロングアイランド生まれ)の、凡そ9年ぶりとなるこの最新リーダー・アルバムは、エリック・アレクサンダー(ts,as)、スティーヴ・デイヴィス(tb)、リック・ジャーマンソン(p)、ウィリー・ジョーンズIII(ds)、という錚々たる顔ぶれのオールスター・クインテットによる一編。
★安定して力強くスウィンギンにドライヴするちょっとストイックともとれる重厚ベースの粛々たるウネり律動や、キレ味シャープでパンチの利いたドラムの迫力満点の爆裂轟鳴、にガッチリ支えられ、また煽られながら、ダイナミックに太い渦を巻くテナーやアーシーに唸るトロンボーン、ソリッド&スクエアーに殺陣ワザをキメるピアノ、らがいずれも"ハード・バップの権化"然と殊の外グルーヴィーでこってりコクのある見せ場を繋いでゆく、という、全編バップ&ブルースの旨味に貫かれた男気みなぎる精悍敢闘が横溢してスカッと壮快に昂揚させてくれる、雄渾にして中々濃い味の会心打内容。
★歌心とスイング感を何より大切にし、硬派でシブいバップ・スピリット&ブルース・フィーリングも潤沢に備わった、モダン・ジャズ黄金時代を思わせる潔い直球勝負の快進撃が勇壮敏活に続き、グループ全体の屋台骨を頼もしく支える一方ソロ時にはウォーム&ソウルフルな醸熟のメロディストぶりもバッチリ発揮するブラスガー(b)や、歯切れよくも圧倒的ハイテクニックをもって精確巧緻にグルーヴを提供するジョーンズ(ds)、の各々活躍も確固とテイスティーに際立ち続ける道程の中で、アレクサンダー(ts)とデイヴィス(tb)の花形の座争いを大方メインとしたソロ・コーナーが、中身のギッシリ詰まった超濃密なる盛り上がりを見せて全く素晴らしい。
★アレクサンダー(ts)の、あくまで一ソロイスト、一バップ職人になりきって嬉々として伸びやかにスイスイと舞い泳ぐ、正にメロディーの泉であり同時にまたどっしりヘヴィーウェイトでアグレッシヴな面もある剛柔兼備の豪快朗々たる歌いっぷり(アルトに持ち替えての少々やんちゃな熱い暴れ具合もナイス!)が、理屈を越えた華々しいスター性と超芳醇な美味さ一杯に映えまくっていて圧巻で、かたやデイヴィス(tb)の、軽やかで飄々とした遊泳的寛ぎマイルド節と、腰を据えてじっくりと地の底へ降りてゆくようなダウン・トゥ・アースな濃厚テイストのブルース表現、を織り混ぜたスモーキー・ブロウがまた、実に懐深げに揺るぎない妙味を揮っており、この二人の「東西の両横綱」っぽい和気溌溂の拮抗の様は文句なく豊饒この上なし。
★加えて、ある時はファンキー・ブルージー、またある時はロマンティック&エレガントに場に即した彩りを添えてゆくジャーマンソン(p)の抑え役的助演も、誠に的確で好印象。
01. A Slice Of Gryce 5:13
02. Blues For Another Time 5:14
03. Circumstantial Evidence 4:17
04. Just A Tadd More Please 6:41
05. Do Dreams Really Matter? 5:46
06. Beautiful Love 6:03 (tb-p-b-ds quartet)
07. An Untold Prophecy 6:54
08. You Oughta Know It By Now 4:21
09. I Found You 5:52
10. The Sugar Glider 7:56
Steve Davis (trombone)
Eric Alexander (tenor saxophone except 06, 10) (alto saxophone on 10)
Rick Germanson (piano)
Paul Brusger (bass)
Willie Jones III (drums)
2022年11月録音
レーベル:
SteepleChase
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