★Prophoneよりの個人名義の近作「Between You and Me」が好評だった若き実力派女性歌手(兼ソングライター):ロヴィーサ・イェンネルヴァルを一座の花形とし、腕利きのピアノ&ベース&ドラムがついたスウェーデンの精鋭4人組ユニット:Ellas Kapell(スタンダード・ナンバーをレパートリーにすることを旨としている模様)の好調サード・アルバム。
★北欧の冷涼に冴えた空気を吹きかけるかのような透明感に満ちたトーン高めの細やかな豊潤クール・ヴォイスが、誠心込めて丁寧に詩を吟じてゆくが如き、それでいてサラリと恬淡に流す風なところや情感一辺倒でなく様式美を重んじるところがあったりもする、基本はあくまでリリカル指向の優しく囁きかける感じのしっとりとした寛ぎ演唱をメロウ&センシティヴに綴って、大層瑞々しくもどこか儚く煌めくような華を成し、歯切れよい骨太クリアー・タッチである時は耽美的に浪漫を映し又ある時は重厚でファンキー・バピッシュなダイナミック・スイングぶりも見せるピアノ以下、インスト陣の安定感がありつつ当意即妙のサスペンス醸成にも長じたフレキシブルなサポートもピタリとツボにハマッた、全般に何より主役の女性ヴォーカルの艶と香りに溢れ白雪のようにちょっと刹那的に溶け消えてしまうかにも思えるきららかな個性、に理屈抜きで大いに魅了される、ある種の幻を、白日夢を見る気分の快適内容。
★インティメイトな和み感とスカンジナヴィアンならではの半覚醒的クールネスを底流させた、リラックスしていながらしかしピーンとシャープに張り詰めた清新スリルも自ずと漂う、繊細で端正な抒情的行き方がテンダー&マイルドに続き、コク深くウネり波打つエリクソン(b)や涼やかかつブルージー・テイスティーに唸り躍るスカフフェンステット(p)、らの活躍も随所で芳醇に際立つが、やはり何にも増して、花形の紅一点:イェンネルヴァル(vo)の淑やかであり結構グルーヴィーでもある歌い回し=中々堂々とした語り口の妙が、殊の外傑出した蠱惑的とも云える魅力を放っていて(殆ど一人勝ち?)、文句なしに素晴らしい。
→所謂白人系抒情派ジャズ・ヴォーカルの伝統を汲んだ語り似ウィスパリング型のスウィート&キュートな落ち着いた柔和スタイルを基調としていて、聴く者は思わず夢心地でうっとりさせられるが、その文脈作りはブルース・フィーリングも潤沢に備わった吟醸感ある展開を見せたり、"転"として、アクセントとしてスキャット〜ハミング系統の軽妙な舞いっぷりを見せたりと何げに幅もあり、しかもトータルなアウトラインとしては一貫して清楚可憐で洒脱な乙女のイメージに無理なく着地させ、そこへ北欧系特有の氷凍テイスト・氷雪テイスト(ケントン楽団系とかのクール派とはやはり趣が異なる)が巧まず加味されて、唯一無二の眩く初々しいキャラクター〜独創性が確立されており、全く見事。
SIDE A
1 I Get Along Without You Very Well 4:09
2 Autumn Leaves 5:24
3 For All We Know 5:05
4 How Could You? 4:53
SIDE B
5 Something On Your Mind 5:18
6 Softly as in a Morning Sunrise 5:12
7 Devil May Care 3:29
8 If I Should Lose You
*CDより収録曲数が2曲少なくなっています。
Lovisa Jennervall (vocal)
Manne Skafvenstedt (piano)
August Eriksson (bass)
Edvin Glänte (drums)
probably 2023年6月スウェーデン-ヨーテボリのNilento Studio録音
2023年スウェーデン作品
レーベル:
Prophone
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輸入盤LP