ENJA
2001年結成、20年あまり、不動のメンバーで時を重ねるトリオが描くオリジナルな世界
コロナ・パンデミックを経ての新たな視点ーアフター・パンデミックの祈り、祝祭
デンマーク最高のジャズ賞 Danish Music Award で Jazz Album of the Yearを受賞した平林牧子。孤高の地、ギリシャ“メテオラ”と響き合う唯一無二の世界観をたたえた作品。録音は新たな ECM 拠点でもある Village Recording にて!
★2001 年結成。2006 年に初リーダー作『Makiko マキコ』 をリリースして以来、5作目となる平林牧子トリオが新作を発表。このトリオは、ベースがクラウス・ホウマン、パーカッションはマリリン・マズール。メンバーも不動で 20 年以上の時を重ねてきた。時代の変化が激しい中、世界的なパーカッショニスト、マリリン・マズールも交えて、一貫した活動をつづけるだけで特筆すべきもの。しかし、このトリオにとってはお互いが必然の関係だ。
★楽曲は、平林牧子のコンポジションを中心に(うち 3.5.9.11 は即興的小編)、マリリン・マズールの曲を 2 曲加えた 11 曲。平林曰く、「曲は日々の中で日常的に生まれるもの」。「作品が一つ完成して、リリースされると、頭の中にスペースもできて、新しい曲が生まれた」といい、本作の原点は、『Where the Sea Breaks』が発売された 2018 年にさかのぼる。それ以来、トリオは生まれた楽曲をライヴやツアーで演奏しては、アレンジやアイデアを加え、ブラッシュ・アップ。毎年定期的に演奏を重ね、今回も、3人で磨いた演奏を詰め込んだ。
★また、20 年以上にわたる活動は、瞬間のインスピレーションの賜物。音楽を無類のものに輝かせる的確なパーカッションを選び、完璧な音程とリズム、音質で空間をつくるマリリン、フレーズやリズムのみでなく音色まで特別なクラウスのベースの素晴らしさは言うまでもなく、平林のピアノと響き合う。まさに唯一無二のトリオだ。
★一方、本作では、特殊なことも加わった。制作期間中に大きく横たわったパンデミックの事実とその後の世界だ。
☆トリオは、2020 年、デンマークとドイツの国境が封鎖される間際にツアーを行い、高まる緊迫感と演奏する喜びを共有したという。<ワープ><メテオール><バーズ・アセンディング>は、そうした時に生まれ、生成された楽曲。もともと、「日常からちょっと離れたところで物事を見ることがある」と語る平林は、コロナという現実からあらためて、人間や地球の存在を俯瞰して、意味を問う視線をもち、曲がうまれたという。平林のオリジナルには、音楽がビジュアルを想起させるユニークな特長があるが、宇宙に流星が飛び交うような<メテオール>が描く広漠とした世界、人間世界が激変したなかで、変わらない自然、動物の世界を、鳥が舞い上がっていく様をみて曲にしたという<バーズ・アセンディング>など、独特な音空間が広がる。一方、そのコロナという現実があったからこそ、生きる現実の愛おしさが曲になったのが「インフィニティ><チェスナット・アレイ」。個人的な体験から祈りを込めたという「インフィニティ」の美しさ、躍動するリズムと反復するフレーズ、そして 3 人が楽しい会話をするようなソロを聴かせる「チェスナット・アレイ」は、祝祭感もあふれる。そうした意味において、今作は新たなマイルストーン的一作となる。
★一方、本作では、特殊なことも加わった。制作期間中に大きく横たわったパンデミックの事実とその後の世界だ。
☆トリオは、2020 年、デンマークとドイツの国境が封鎖される間際にツアーを行い、高まる緊迫感と演奏する喜びを共有したという。「ワープ」「メテオール」「バーズ・アセンディング」は、そうした時に生まれ、生成された楽曲。もともと、「日常からちょっと離れたところで物事を見ることがある」と語る平林は、コロナという現実からあらためて、人間や地球の存在を俯瞰して、意味を問う視線をもち、曲がうまれたという。平林のオリジナルには、音楽がビジュアルを想起させるユニークな特長があるが、宇宙に流星が飛び交うような「メテオール」が描く広漠とした世界、人間世界が激変したなかで、変わらない自然、動物の世界を、鳥が舞い上がっていく様をみて曲にしたという「バーズ・アセンディング>など、独特な音空間が広がる。一方、そのコロナという現実があったからこそ、生きる現実の愛おしさが曲になったのが「インフィニティ」「チェスナット・アレイ」。個人的な体験から祈りを込めたという「インフィニティ」の美しさ、躍動するリズムと反復するフレーズ、そして 3 人が楽しい会話をするようなソロを聴かせる「チェスナット・アレイ」は、祝祭感もあふれる。そうした意味において、今作は新たなマイルストーン的一作となる。
★ところで、そんな背景の作品、タイトルも大変象徴的だ。“メテオラ”はギリシャ・テッサリア地方、ピンドゥス山脈の上にある奇岩と崖の上に 11 世紀頃から建てられたビザンチン様式の修道院群。砂岩の一部は高さ 600 メートルを越え、何百年もの間、縄梯子やウインチでしか到達できず、天候によって、建物は、空から落ちてきたように見えたり、空中に浮いているように見えるという幻想的な景観。アテネのツアーの途中で、その地を知った平林は、孤高の存在、しかし長い年月、地球上に存在し続けるメテオラが、作品のタイトルにぴったりだと認識したという。また、“メテオラ”を教えたのは、<メテオール>の演奏を聴いて「“メテオラ”という場を知っているか?」と話しかけてたオーディエンスという。観客との会話が作品の世界を広げるところも、このトリオらしい話だ。
★毎回オーディオ的なものも大切にする3人は、素晴らしいピアノも備え、現在、ECM 作品の拠点ともなるコペンハーゲンの VillageRecording,にて録音。レコーディング、ミックス、マスタリングも最高のスタッフを揃えたのは言うまでもない。 (新譜インフォより)
all songs composed by Makiko Hirabayashi except 6.10 by Marilyn Mazur
Recorded 26, 27 Oct 2022 at The Village Recording, Copenhagen
Recording engineer: Thomas Vang / Mixed by August Wanngren /Mastered by Thomas Eberger& Sofia von Hage at Stockholm
Mastering
Photography by Patricia Pereira
Cover artwork by Sophie Allsopp
Graphic Design by Sascha Schwegeler
Produced by Makiko Hirabayashi
Executive Producer: Werner Aldinger