CATFISH RECORDS

★過去の諸作がいずれも大好評だった、オーストラリア出身の人気女性歌手兼ピアニスト：サラ・マッケンジー(オーストラリア-メルボルン北西部のベンディゴ生まれ)の、4年ぶりとなるこのニュー・アルバムは、ホメロ・ルバンボ(g)やピーター・アースキン(ds)、ボブ・シェパード(fl,ss)ら参加の小コンボによるボサノヴァ名曲集。

★艶と潤いに溢れ、爽涼で透明感と微妙な翳りが交差する、重心の安定したトーンやや高めの馨しいクリーン・ヴォイスが、歌詞とメロディーを何より大切にしてきめ細かく丁寧に語りかけるような、それでいて声音そのもののヒンヤリした様式美を際立たせるクールな節回しや、転回としてスキャット〜ハミング系統の軽やかなグルーヴィー技、を適所適量盛り込んで上手く変化をつけ、トータルとしてはあくまで優しくメロウな柔和筋のアウトライン・イメージを崩さない抒情指向の演唱をセンシティヴに綴って、詩趣濃やかにしてボサノヴァならではのサウダージも仄めくちょっと儚げな華を成し、表情多彩で劇的な超絶ギターやエレガントなチェロ、自身の耽美的でロマネスクな弾き語りピアノなど、演奏面の色とりどりの聴きどころもバッチリ充実した、全般に一種のラウンジ的リラクゼーションと奥深いメランコリーに彩られたソフィスティケートな歌空間に夢心地でハマらせてくれる、極上の快適内容。

★インティメイトな和み気分と小気味のいい軽妙なグルーヴ感が変らず底流する、涼やかにしてテンダー&ハートウォーミングなゆとりと節度ある行き方が続き、ムードと気品そして優雅さが自ずと保たれた居心地よさ抜群の寛ぎサロン調の道程の中で、マッケンジー(vo)の瀟洒味とウィットに富んだソフト&スウィートな歌い回し〜語り口の妙が何とも爽やかに、清新に冴え渡っていて素敵だ。

→基本的には、ブラジリアン本職の人とは違って「ジャズ・ミュージシャンによるボサノヴァ解釈」という立ち位置が維持されており、即ち、ブルースやバップの感覚を堅持した上で哀愁のボッサに最接近する、とでも云えそうな、そういう、抒情派ジャズ・ヴォーカルに由来した小粋でチョイ渋でムーディーな詩的ロマンティシズムとボサノヴァ本来のアンニュイでまろやかな憂き情緒や独特の軽み、が自然に掛け合わされた歌曲表現には洒落ていながら胸に深く染み入る得難い余情が、雅趣があって絶品。

★ニュアンス細かに一人二役っぽく合いの手を入れる本人のピアノ・プレイも秀逸だが、インスト面においてはやはりルバンボ(g)の、縦横無尽かつ変幻自在(しかも精確巧緻)にチョチョイのチョイのスーパー・ハイテクニックをもってドラマティックな大立ち回りを見せる、その、役者の如き活躍が殊の外ダントツにズバ抜けていて何より圧巻。

01. The Gentle Rain 4:27
02. Corcovado (Quiet Nights) 5:02
03. The Voice Of Rio 3:02
04. Mean What You Say 2:08
05. Fotografia 3:49
06. Quoi, Quoi, Quoi 3:35
07. Once I Loved 4:20 (vo & g duo)
08. Without You 4:19
09. Wave 5:04
10. Dindi 4:32
11. The Girl From Ipanema 4:27
12. Chega De Saudade 4:26
13. Bonita 4:07
14. Modinha 2:34 (solo vo+p)

Sarah McKenzie (vocal) (piano except 07)
Bob Sheppard (soprano saxophone on 06) (flute on 08,10)
Romero Lubambo (guitar except 14)
Jaques Morelenbaum (cello on 01,02,05,09,10,11,13)
Geoff Gascoyne (bass except 07,14)
Peter Erskine (drums except 07,14)
Rogerio Boccato (percussion except 07,14)

2023年作品
(Normandy Lane Limited原盤?)

レーベル：寺島レコード

在庫有り
セミダブル紙ジャケット仕様CD