★進取性に富んだフランスの突出個性派バップ・ピアノ名手:マルシアル・ソラール(マーシャル・ソラール)(1927年アルジェリアのアルジェ生まれ、1940年代末にフランスへ移住、両親はフランス人)の、本盤は、ジルベール・ロヴェール(b)&シャルル・ベロンツィ(ds)とのトリオによる1965年4月パリ(スタジオ)録音の傑作「Martial Solal "Trio"」(仏Columbia原盤)の全曲に、ボーナス・トラックとして、ギイ・ペデルセン(b)&ダニエル・ユメール(ds)とのトリオによる1963年12月録音のライヴ・アルバム「Concert À Gaveau Vol.2」(これも仏Columbia原盤)から1曲を追加した世界初CD化(両作品ともCDは世界初)版。
★一音一音の輪郭がクッキリ鮮明に浮かび上がり、堅固で鋭く突き刺さる硬質なストーン・タッチのピアノが、バップ・イディオムに則った殺陣の型っぽいダイナミズム手法を出発点としながら、それをより激烈に四方八方へ揺れ動かしまくる風な速射砲撃的アクロバティカル・アクションに発展させ、更に歌謡調のメロディック・フレーズやブルースに由来した粋で渋い吟醸的小節なども細かに盛り込んで、誠に表情多彩で起伏に富んだスリル満点の流れを創出するドラマティック・プレイを綴って陰影濃いソリッドな魅力を放ち、ドシャバシャと荒々しく侵攻してくるドラムや分厚い重圧トーンでウネり猛るベース、らの遊撃的サポートもノリと緊迫度を強力に高めた、全般にバップ系ピアノ・トリオの正統らしい旨口のスウィンギン・グルーヴ感とソラール独自の曲芸エンタテインメント・タイプの奇天烈さを併せ持った、振り幅大きな音世界に問答無用で聴く者をグイグイ引き込むハイテンションな敢闘内容。
★基本はハード・バップの典型たるブルージー・スインギーな歌心も充分の人情派娯楽活劇的行き方が歯切れよく続き、ロヴェール(b)やベロンツィ(ds)の安定律動性とゲリラ的奇襲力を兼備した機略縦横のバックアップに上手くノセられながら、ソラール(p)の、真っ当なバップ・ピアノらしさを基軸とする一方で常軌を逸した暴れ馬にも突如豹変するアドリブ奮戦が、全く予断を許さないキレ味シャープでフレッシュ・スリリングこの上ない大興奮と旨味を齎して出色だ。
→先ずはパウエルやテイタムらのスタイルに倣った強固で鋭角的な骨芯にブレなきダイナミック・スイング攻勢に、アメリカン小唄路線の伝統をしっかり汲んだ洒脱でイナセなコク旨節なども盛り込んでテイスティー・グルーヴィー至極の音景色を活写して見せるが、エキサイトしてくると次第にソラール一流のパンキッシュでイカレたモーレツ大立ち回り爆発!へと突入して、ちょっとサイコなノリにも推移する、という、全体を俯瞰するとそういうカタギ傾向とアナーキー(&ジャンキー?)さとが上手く自然なバランスで融合し安定着地した、しかもその一音一音には圧倒的な鬼神の如き気魄が、迫真力がみなぎっている、といった風な、激しくも1ミリも揺らぐところのない弾鳴のあり様はバッチリ芳醇で説得力も絶大。ボーナス・トラックでのD・ユメールのタイトなドラムワークも聴きもの。
1. Le Beau Danube Bleu (美しく青きドナウ)
2. A San Francisco Sans Francis
3. 8 Avril (solo piano)
4. On Green Dolphin Street
5. My Old Flame
6. Jazz Frit
7. Four Brothers
8. Sous Le Ciel De Paris (パリの空の下) (from Concert À Gaveau Vol.2 1964.) (※ボーナストラック)
Martial Solal (piano except 7) (harpsichord on 7)
Gilbert Rovère (bass except 3, 8)
Charles Bellonzi (drums except 3, 8)
Guy Pedersen (bass on 8)
Daniel Humair (drums on 8)
1965年4月7日(#1,#2,#4,#5),8日(#3,#6,#7)フランス-パリ(スタジオ)録音
#8:1963年12月11日ライヴ録音
レーベル:
Serie Teorema
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紙ジャケット仕様CD