★ドラムからベースに転向してスタン・ゲッツのサイドで頭角を現し、以来、米ウエストコースト・シーンを主たる拠点として、アコースティック・ベースとエレクトリック・ベースの両輪、並びに硬派リアル・ジャズとフュージョンの両フィールドで、"低音"の権化たる泰然自若の活躍を、重厚邁進を続けてきたヴェテラン・ベース名手:ブライアン・ブロンバーグ(1960年米アリゾナ州ツーソン=Tucson生まれ)の、今回は、トム・ジンク(p)&チャールズ・ルッジェーロ(ds)とのピアノ・トリオ体制による、スコット・ラファロに捧げられた一編。
★太くヘヴィーなトーンで重低音を弾力的にハジき撥ね躍らすかのような肉厚ベースの歌心溢れる力強いダイナミック鳴動、も絶えずウォーム・テイスティー&ストロング・グルーヴィーにこってり濃い存在感を放ち続ける中で、きめ細やかかつ敏捷そしてシャープに空を斬り刻んでゆく風なドラムの精緻ワザや、折り目正しく歯切れよい鮮明タッチで耽美性に富んだロマンティックな生粋詩人・生粋メロディストぶりをゆったり揮うピアノの抒情派プレイ、が各々瑞々しい彩りを成すが、しかしやはり何よりヴォリュームもデカいベースの勢いあるスピリチュアルな唄いっぷりが主役然と抜きん出た際立ちを堂々示しきった、全編スウィンギン&ハートフルなリリシズム世界をノリよく愉しませる好演内容。
★歌謡性〜メロディーの美とスイング感を何より大切にした、単純明快直球型リリカル・ハード・バップの鑑たるごく親しみやすい人情娯楽的行き方が小気味よく続き、所謂"ピアノ・トリオ"の体裁をとってはいるものの「花形の一番手はベースである」という絶対理念のもとで繰り広げられる、ブロンバーグ(b)とジンク(p)のカラフルで中々起伏の烈しい覇権争いが一貫してフレッシュ・スリリング&ドラマティックに胸躍る見せ場を創出していて、大いに昂揚させられ、また豊かな旨味を満喫させてくれる。
★ブロンバーグ(b)の、随所で「俺が俺が」と出張ってきては華やぎシーンを独占せんとする?雄弁で温もりと包容力に満ちたメロディック・グルーヴィン妙技が図太くも超芳醇にコク深い冴え渡り様を見せている一方、そうしたブロンバーグの猛ハッスルを横目にあくまでマイペースでクール・スマートな抑制あるロマネスク・フレーズを軽々と、飄々と涼しげに繰り出し続けるジンク(p)の、余裕と節度を保ったジェントルマンらしい立ち居振る舞いがまた、ブロンバーグとは好対照に含蓄豊かな妙味を発揮して秀逸で、両雄のソロ合戦にはいつまでも飽きのこない清新さとスリルがあり何げに卓越している。見事。
01. Blue In Green (Miles Davis) 5:57
02. My Foolish Heart (Victor Young, Ned Washington) 6:05
03. Alice In Wonderland (Sammy Fain, Bob Hilliard) 6:07
04. Gloria's Step (Scott LaFaro) 4:29
05. What Is This Thing Called Love (Cole Porter) 3:54
06. Danny Boy (Traditional) 4:24 (*solo bass)
07. Waltz For Debby (Bill Evans) 6:34
08. Israel (John Carisi) 5:02
09. Nardis (Miles Davis) 5:25
10. Milestones (Miles Davis) 5:15
11. Jade Visions (Scott LaFaro) 5:38
12. Scotty's Song (Brian Bromberg) 6:49
Brian Bromberg (acoustic bass,piccolo bass on 12)
Tom Zink (piano except 06)
Charles Ruggiero (drums except 06)
2023年5月1日&2日米カリフォルニア州ロング・ビーチのMing Dynasty Recording Studiosでの(ライヴ)録音
解説:早田 和音
解説:ブライアン・ブロンバーグ(日本語訳)
レーベル:
King International キング・インターナショナル
在庫有り
国内制作CD 日本語帯・解説付