★云わずと知れたデンマークを代表するモダン・ドラムの最高実力者にして優れたバンド・リーダー:アレックス・リール(1940年デンマークのコペンハーゲン生まれ)の、本盤は、1990年代にいずれも米ニューヨークのスタジオ(サウンド・オン・サウンド)で吹き込まれた2つの傑作、→その一はマイケル・ブレッカー(ts)、ジェリー・バーガンジィ(ts)、マイク・スターン(g)、ニールス・ラン・ドーキー(p)、エディ・ゴメス(b)参加の変動的緊密コンボによる1997年3月録音の「Unriel!」(Stunt STUCD 19707 *1997年リリース)と、その二は同じくブレッカー(ts)、バーガンジィ(ts)、スターン(g)に今度はケニー・ワーナー(p)とクリス・ミン・ドーキー(b)が参戦したこれも変動的緊密コンボによる1999年10月録音の「Rielatin'」(Stunt STUCD 19918 *2000年リリース)、以上のアルバム2作品を2枚組セット(デジパック仕様)にした新装再発版。
★精確巧緻な安定律動と変則的ゲリラ奇襲とを同時並行で仕掛けてくるドラムのシャープネスみなぎった大攻勢も、黒幕然と強力なるグルーヴ・オーラを放ち続ける中で、質実剛健の雄々しきテナー咆哮や、ヒネりを利かせてダーク&ファンク・ブルージーな微妙に濁った立ち回りを鋭くキメるギターの働き、硬派筋のバップ・ダイナミズム指向だったり繊細な端麗浪漫路線だったりと表情に富んだピアノの劇的弾奏、などがそれぞれに華々しい存在感=スター性満点に鮮烈・濃厚な見せ場を競い合ってゆく、旨味と歯応え十二分の敢闘内容。
★両作品とも極めてストレートアヘッドな現代流(=90年代流)モード系ハード・バップ・ジャズの正統らしい、歯切れよくもヘヴィー・ストロングなハードボイルド調の、それでいて歌心や詩的情緒性にも事欠かぬダイナミック・スウィンギン熱演が精悍げに展開してゆき(この2作品を敢えて比較するなら、主要メンバーが重なっていることもあり似通ってはいるものの、どちらかと云うと前編「Unriel!」の方が甘さを抑えたシリアス傾向、後編「Rielatin'」の方はレパートリー上の親しみやすさ・取っ付きやすさを含めて幾分丸みを帯びた和みめの印象がある)、リーダー:リール(ds)のメリハリ&色彩感溢れる凹凸パンチ・アタック!でしっかり睨みを効かせつつ全体を引き締めるボスぶりも頼もしく際立ち(同時にサイド勢〜ソロイスト達の最良面をバッチリ引き出す芸の細かい触発ワザも見事!)ながら、ブレッカー&バーガンジィのテナー陣の武勇肌・武骨肌の極みとも云うべきスケールもデッカい吠えっぷりや、やや異分子的役回りで全体にピリッとした刺激スパイス効果を齎すスターン(g)の暗躍、ドーキー(p)またはワーナー(p)のオーソドックスなブルージー・バップ・スタイルに寄ったキレのあるアクション、といった辺りが各々凛々しくもコク深く魅力を揮って、殊の外密度の濃い道程を創出している。
★ブレッカー(ts)のコルトレーン直系のアグレッシヴ・スタイルにいささかもブレるところのない気合爆発のスーパー・タフな激烈ブロウや、バーガンジィ(ts)の勇猛な逞しさの中にどこか頽廃的疲労感・倦怠感を滲ませる滑脱吹奏、スターン(g)のファンクやロックの要素を多々盛り込みつつ妖しく不敵に跳ね躍るブルース色濃い立ち働き、N・L・ドーキー(p)のハンコック・ライクな硬質骨太めのモーダル・バッパーになりきったスウィンギン・プレイ、対するワーナー(p)のバッパーぶりの中にも独特のエレガンスや耽美性を垣間見せる根はロマンティストたるメロディック弾奏、など、個人芸の聴きどころは興趣も多彩で非常に充実している。
★加えて、肉厚でドライヴ感みなぎるC・M・ドーキー(b)の闊歩邁進ぶりに比し、ヴェテラン:ゴメス(b)の確固として律動スイングしているのかあてどなく宙をたゆたい浮遊しているのか分からなくなるところのあるニュアンス豊かな芳醇至芸、にも大いに目(耳か?)を見張った。
CD1 「Unriel!」:
1. Gecko Plex (ts-ts-b-ds)
2. He's Dead Too (ts-g-b-ds)
3. On Again Off Again (ts-ts-p-b-ds)
4. Amethyst (ts-p-b-ds)
5. Bruze (g-p-b-ds)
6. Moments Notice (ts-g-b-ds)
7. Channeling (ts-g-b-ds)
8. Invisible Light (ts-p-b-ds)
9. Unriel (ts-b-ds)
CD2 「Rielatin'」:
1. Did You Call Her Today (ts-ts-p-b-ds)
2. Bessie's Blues (ts-g-p-b-ds)
3. Committed (ts-p-b-ds)
4. Dexterity (ts-p-b-ds)
5. In My Own "Sweets" Way (solo drums)
6. I Fall In Love Too Easily (p-b-ds)
7. The Bat (ts-g-b-ds)
8. High Tops (ts-g-p-b-ds)
9. Lille Empum (ts-b-ds)
Michael Brecker マイケル・ブレッカー (tenor saxophone on CD1-1, 3/CD2-1, 2)
Jerry Bergonzi ジェリー・バーガンジィ (tenor saxophone on CD1-1〜4, 6〜9/CD2-1, 3, 4, 7〜9)
Mike Stern マイク・スターン (guitar on CD1-2, 5〜7/CD2-2, 7, 8)
Niels Lan Doky ニールス・ラン・ドーキー (piano on CD1-3〜5, 8)
Kenny Werner ケニー・ワーナー (piano on CD2-1〜4, 6, 8)
Eddie Gomez エディ・ゴメス (bass on CD1-all tracks)
Chris Minh Doky クリス・ミン・ドーキー (bass on CD2-1〜4, 6〜9)
Alex Riel アレックス・リール (drums - all tracks)
CD1:1997年3月23-24日米ニューヨークのサウンド・オン・サウンド録音
(原盤 = Stunt STUCD 19707 「Unriel!」 1997年リリース)
CD2:1999年10月9-10日米ニューヨークのサウンド・オン・サウンド録音
(原盤 = Stunt STUCD 19918 「Rielatin'」 2000年リリース)
レーベル:
Stunt
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