★従来はトロントを主たる拠点として活動し、過去にもこのCellarレーベルから幾つかリーダー・アルバムを発表して好評を得る他、人気グループ:The Cookers Quintetのレギュラーとしても大いに気を吐いてきたキャリア豊富なカナダの敏腕ドラマー:ジョエル・ヘインズの、本盤は、かつての人気作「Transitions」(2008)でも共演していたシーマス・ブレイク(ts)&ティルデン・ウェブ(p)と再び組み、今回はニール・スウェインソン(b)も新たに加わったオールスター・カルテットによる好調作。
★キレ味シャープかつ精確にキビキビと弾むようなドラムや、ウネりを利かせて勢いよくドライヴする肉太ベース、らにガッチリ支えられ、また触発されて、絞りと緩みが絶妙に混在した表情あるトーンのテナーがアグレッシヴ&エモーショナルに雄渾のロマンを歌い上げて凛々しく華を成し、抑制を効かせて硬質かつ鋭角に粛々と殺陣アクションを繰り出す堅牢ピアノも陰影豊かな彩りを添えた、全般に今日流モード系ハード・バップ・ジャズの本道を脇目もふらずに突き進む潔い敢闘が続いて、スカッと壮快に昂揚させてくれる会心打内容。
★硬派で質実剛健それでいて歌心にも事欠かない巧まずバランスのとれた人情娯楽活劇風のダイナミック・スウィンギン熱演、が雄々しく精悍に展開され、生々しい生命力や鋭敏な躍動パワーを多々感じさせるヘインズ(ds)の歯切れよいドラミングや、ウォームかつ起伏烈しく大波のように立ち回るスウェインソン(b)の雄弁鳴動、に上手く煽られる恰好で、一座の花形ブレイク(ts)やこれを猛然と追うウェブ(p)らの腰の据わった入魂のアドリブ奮戦が、卓抜なる迫真力&ノリそして旨味一杯に冴えを見せて素晴らしい。
★ブレイク(ts)の、モーダル・バピッシュ・テナーの理想的なお手本とも云うべき、エネルギッシュで豪快熱血な突破力に溢れる一方でちょっとレイジーな疲労感・倦怠感を覗かせるところもある、音色そのものの微妙に細く柔らかな風合いも奏効して、トータルとしては男臭くもニュアンスに富む情緒的イメージに仕上がったそうした吹鳴のあり様は、中々に味わい深く余情豊かな魅力に溢れており、かたやウェブ(p)の、伝統的バップ・イディオムやファンキー語法を使った粋渋な吟醸ワザからマッコイ〜ハンコック系統の熱気を孕んだ力学指向の大立ち回りまで、局面に応じて的確に文体を使い分ける手堅いドラマティック・プレイも、実に鮮やかにピタリとツボにハマッていて絶妙。
1. The Return
2. Peregrination
3. There And Back
4. Tomorrow Never Knows
5. Secret Garden
6. Allure
7. Angel
8. Payback
Seamus Blake (tenor saxophone)
Tilden Webb (piano)
Neil Swainson (bass)
Joel Haynes (drums)
2023年2月7日カナダ-ブリティッシュ・コロンビア州ヴァンクーヴァーのMonarch Studios録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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見開き紙ジャケット仕様CD