→ヨーロッパの今日流詩人気質の本領たる、ある種の曖昧さを含んだ情緒の推移、心象風景の移ろいを濃やかに掬い取ってゆくが如き仄暗くビタースウィートな哀愁描写に先ずは鮮度抜群の妙味が発揮されるが、道程が進むにつれ、そうしたユーロ特有のテイストのみならず、ハンコックやコリア辺りを十全に研究したと思しきスマートな立体力学的アクションや、モンク辺りとはまた違った打楽器的手法と吟醸ブルース表現の融合、スタンダード"Alice In Wonderland"における伝統的寛ぎ小唄路線とエヴァンス以降のロマンティック派の定番文体をミックスしつつ当世型にアップデートした風な滑脱アプローチ、など、そのトータルなアウトライン・イメージは現代ヨーロピアン・フレイヴァーが濃厚だが、ディテールにはわりかしストレートアヘッドな主流派バピッシュ・スタイルが巧く豊富に応用されていて、一本調子でないメリハリある弾鳴キャラが立ち現れており説得力も充分。また、そうしたマグリーニ(p)の魅力を最大限に引き出すリーダー:フスコ(ds)の懐深さ+細心さ(加えて作曲センス)も光る。
1. Wave
2. Quarantine
3. Alice In Wonderland
4. Peaceful Mind
5. Sete
6. TheHappiness Tango
7. Pilgrimage
Manuel Magrini マニュエル・マグリーニ (piano)
Ferdinando Romano フェルディナンド・ロマーノ (double bass)
Antonio Fusco アントニオ・フスコ (drums)