★依然として多方面で大忙しの活躍を続けている当代ハード・バップ・ピアノの最高実力者の一人:デイヴィッド・ヘイゼルタイン(ヘイゼルティン?)(1958年米ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ)の、今回は、ピーター・ワシントン(b)&ジョー・ファーンズワース(ds)という過去幾度も組んできた馴染みの二人とのオールスター・トリオによる円熟の一編。
★歯切れよく鋭角で骨太なストーン・タッチのピアノが、その硬質さを活かしながら堅固に凹凸を描いてゆくバップ・イディオム型のアクション手法を根幹に据え、そこへブルース由来であったりより間口の広い歌謡傾向であったりのメロディック・フレーズを絶妙の匙加減で盛り込んで、粋な抒情味十二分にして甘すぎない毅然さある旨口の音景色へすっきりすんなり着地させる、バランス感覚抜群の人情肌ダイナミック・プレイを精悍に綴って凛々しくも味わい豊かなさすが熟達した魅力を放ち、精確巧緻にして機智・機転あるベース&ドラムの一音一音が朗々と唄っている感じな、安定していながら瞬発力に長けた敏捷サポートもハマるべきツボへ好もしくハマりきった、全編ハード・バップ系ピアノ・トリオの本道を迷いなく突き進む真っ向勝負の敢闘が横溢してスカッと壮快に昂揚させ、また豊かなウマみを堪能させてくれるクリーンヒット内容。
★歌心とスイング感にポイントを絞った、ブルース色も濃いド真っ当な大衆派娯楽活劇風のハード・バピッシュ驀進!が溌溂と愉しげに、そして力強くタフに展開され、ニュアンス濃やかにウネるワシントン(b)やパワフルとデリケートの掛け合わせが卓抜なるファーンズワース(ds)、らの活躍もガッチリ頼もしげに妙味を煌めかせる中で、ヘイゼルタイン(p)の、肩肘張らず衒いを排してひたすら伸び伸びと得意ワザを揮いきる、自然体の直球に徹したアドリブ奮戦が、その一つ一つの音から嬉々たるポジティヴな歓びがハジけほとばしるかのような鮮度満点の盛り上がりを、豊作ぶりを呈してゴキゲンだ。
→バップ・ピアノの正統らしい硬派で雄々しく分厚いソリッド感ある殺陣風の角張った力学的立ち回り攻勢で先ずは確固としたハードボイルド・グルーヴ感を醸成、並行してタフガイが朴訥に哀愁を滲ませるが如きちょっと不器用そうな仄々としたメランコリック節であったり、イキでイナセな吟醸感溢れるファンキー・フレージングであったり、のリリカル要素も的確に滑り込ませ、時には転回としてモーダルなダイナミズム表現を挿入して上手くメリハリをつける、という、トータルとしてはあくまでオーソドックスなハード・バップ街道のド真ん中を頑として揺るぎなく邁進し、走り続けるイメージの、陰影濃く激シブでアジな芳醇さ一杯のコク深き弾鳴キャラがごくナチュラルに、しかも1ミリもブレるところなしに重みをもって打ち樹てられていて、全く見事。
01. Here Again 6:33
02. Tangerine 5:50
03. Blues For Gerry 7:37
04. Firm Roots 6:44
05. Body And Soul 7:13
06. It Could Happen To You 6:01
07. Skylark 4:46
08. Minor Disturbance 5:29
09. You Know I Care 5:41
10. Here We Go 6:16
David Hazeltine (piano)
Peter Washington (bass)
Joe Farnsworth (drums)
2022年12月1日米ニューヨーク市クイーンズ区アストリアのthe Samurai Hotel Recording Studio録音
2023年作品
レーベル:
Criss Cross
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CD