CATFISH RECORDS

★バークリー音大に学び、ヘレン・メリルの日本ツアーに起用されるなど東京を拠点に幅広く活躍した後、地元の福岡へ戻って更に精力的な活動を続けた正統派モダン・ピアノの実力者：内田浩誠(1953年生まれ、2018年死去)の、本盤は、バークリー音大仲間の河原秀夫(b)＆ティム・ホーナー(ds)と組んだトリオによる、これが初リーダー・アルバムとなった1981年8月東京録音の傑作(ポリドール原盤)の世界初CD化。

★骨太く堅牢な強固さとキレのよさ、そして濃い陰影を湛えた、岩石の如きゴツゴツ感みなぎるハード・タッチのピアノが、伝統的バップ・イディオムに則って殺陣の型に徹するような硬派で渋〜いスウィンギン・アクションを精悍に炸裂させ、並行してファンキーだったりクール・スマートだったりの唄性や軽みを反映させたマイルドで粋なメロディーも程好く盛り込んで巧まず変化をつける、というハード・バップ・ピアノの鑑とも云うべき輪郭もクリアーな鋭角的人情肌プレイ、を敏活に紡いで雄々しくもコク深い華を成し、歯切れよく空を斬り刻みながらシャープに突撃疾駆するドラムや、おぼろで肉厚な音響に強烈なバネ力を注入しつつウネり躍るベース、らのいずれもしっかりと圧があり猛烈にスイングしまくるパワフルな助演も頼もしげに魅力を際立たせた、全編ひたすら真っ当な直球勝負の勇ましい驀進が続いてノリよく昂揚させ、またちょっと燻し銀っぽい豊かな旨味を満喫させてくれる壮快内容。

★歌心とスイング感にポイントを絞ったシンプル・ストレートこの上なしにしてブルース・フィーリング&バップ・スピリットも潤沢な、情味溢れる超潔い娯楽活劇調の快進撃がイキイキと続き、風通しもよさげでおおらかな開放感の立ち昇る道程の中、歌謡感覚と弾性に満ちた河原(b)や精確巧緻さと遊撃力を併せ持つホーナー(ds)、らの強靭なタフネス漲った(そしてわりかし攻めた)バックアップに上手くプッシュされ、触発されて、内田(p)の、結構表情多彩でいてその骨芯には一切ブレるところがなく肝っ玉が据わったイメージのソリッド&スクエアーなアドリブ奮戦が、どこまでもテイスティー・グルーヴィーに確固と安定した冴えを、キレを示して何ともゴキゲンだ。

→アクション主体の局面においてはパウエルやB・ハリスの流れを汲んだ硬質な角張り感あるダイナミズムも満点の立ち回りフレージングを揺るぎない根幹とし、そこへR・ガーランドやピーターソン辺りに通じる軽涼玉転がしタッチ&ブロック・コードを活かした寛ぎ小唄風のファンキー節、もしくはシアリングやブルーベックとかにも似たクールなコードワーク、などを絶妙のタイミングで適量滑り込ませて潤い&リラクゼーションを的確に醸成、これで先ず"純正バッパー"たるトータル・アウトラインが打ち樹てられるが、しかしそれだけにとどまらず、詩的・抒情的な場面にあってはハンコックやコリア、エヴァンスらの成果を踏まえた「センスよくジェントルなモード奏法」が巧く用いられてメリハリ或いはテンダーめのアクセントが齎され、だが全体を俯瞰するとあくまでオーソドックスで粋渋なハード・バップ・ピアノの印象が崩れることはなく、この当時内田はまだ二十代にして既に充分熟成したこってり芳醇なる弾鳴キャラが確立されているところは全く見事、全く卓抜と云う他ない。

1. ワン・フォー・エイモス
2. ボストン
3. トライ・ア・リトル・テンダネス
4. ソング・フォー・チャコ
5. ア・ソング・デディケイティッド・トゥ・ビル
6. ウナ・マス
7. オータム・イン・ニューヨーク
8. ユー・ゴー・トゥ・マイ・ベッド

内田 浩誠 Kosei Uchida (piano)
河原 秀夫 Hideo Kawahara (bass)
ティム・ホーナー Tim Horner (drums)

1981年8月24日東京録音

レーベル：Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe)

★世界初CD化
★新規解説歌詞付
★デジタルリマスタリング
★録音年月日：1981年8月24日
★収録場所：東京
★オリジナル発売年：1982年

在庫有り
国内制作CD