★80代後半に差し掛かるもなお元気一杯に演奏活動を続けているハード・バップ・テナーの生ける伝説:ジョージ・コールマン(1935年米テネシー州メンフィス生まれ)の、今回は、スパイク・ウィルナー(p)、ピーター・ワシントン(b)、ジョー・ファーンズワース(ds)とのオールスター・カルテットによるSmalls(NYC)でのライヴ編。
★柔らかで滑らかな丸みを帯びた流線形的鳴り様を呈していたかと思えば、一転してドスとキレの効いた重厚で力強いハード・ドライヴィングな轟き具合になったりもする、何とも表情豊かで味のあるトーンのテナーが、太く逞しく渦巻きウェイヴを描く感じのダイナミック・アクション咆哮に、巧まずナチュラルな歌謡性やブルース・フィーリングも多々加えられた、これぞバップ・テナーの鑑!たるメロディック・スウィンギン・プレイを滑脱に綴って、気さくな人情味満点でいて甘すぎず硬派筋の雄々しさも十二分の超芳醇なる華を成し、抑制を利かせてソリッド&スクエアーに鋭角的立ち回りを見せるピアノ以下、リズム隊のばっちりツボを心得た百発百中っぽく決してハズさない堅固で分厚いサポート、も頼もしく魅力を際立たせた、全編王道中の王道然とした真っ向勝負のエンターテイニングな熱演が続いてスカッと壮快に昂揚させ、また豊かな旨味を満喫させてくれる会心打内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り、十全に吟醸されたブルージー・センスやバップ・スピリットも自ずとたっぷり有した、そのディテールには多少モードの文脈が現れるところもあるもののトータルなアウトラインとしては"生粋ハード・バップ"の趣の濃い、大衆派娯楽活劇風の快進撃が溌溂と愉しげに展開してゆき、風通しもよさそうな開放感あるおおらかムードの道程の中、ファーンズワース(ds)やワシントン(b)のさすが凄腕な安定したハイ・テクニカル妙技にも適宜スポットが当てられて好アクセントを形成する一方、コールマン(ts)の一貫して泰然自若の確たるスタンスから悠々と繰り出されるインプロヴィゼーションが白眉の豊饒風景を描き出し、これを追うウィルナー(p)のイナセな奮戦もまた鮮烈に映える、といった具合でソロ・コーナーのおいしい盛り上がり様は文句なしに格別で全くゴキゲンだ。
★コールマン(ts)の、豪快武骨なタフガイがその全身を大きく揺さぶり動かすが如きヘヴィー・ストロングなイメージがある反面、曲によって微妙に音色を変化させて細かなニュアンスを表さんとする風な真摯で瑞々しい、そして若々しい、生鮮に煌めくような表情も垣間見せる、という、全体を俯瞰すると終始一定の余裕と貫禄を保ったコク深きハード・バップ・テナーの真髄・醍醐味が実にイキイキと遺憾なく、余すところなく発揮されていて、そうしたこってりテイスティーであり殊の外フレッシュでもある吹鳴のあり様は理屈を越えた旨さと説得力に満ちており卓抜。かたやウィルナー(p)の、ファンキー・バップ・ピアノの典型スタイルに則って歯切れよく猛追してくる燃えっぷりがこれまた痛快無比。
1. Four
2. At Last
3. My Funny Valentine
4. Meditation
5. Blues For Smalls
6. Nearness Of You
7. New York, New York
8. When Sunny Gets Blue (ts & p duo)
George Coleman (tenor saxophone)
Spike Wilner (piano)
Peter Washington (bass except 8)
Joe Farnsworth (drums except 8)
2022年3月15日Smalls Jazz Club(米NYC-グリニッチ・ヴィレッジ)でのライヴ録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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