★スウェーデン-ヨーテボリを拠点に長らく活動、以前は森泰人一派に属し歌伴の名手でも大いに鳴らす一方、2020年に満を持しての初リーダー・アルバム"Stay a while"をProphoneからリリースして好評を得ていたピアニスト:シモン・ヴェストマン(1979年インドネシアのジャカルタ生まれ)の、前作と同じ顔ぶれの鉄壁トリオによる好調セカンド。演目は1曲(#7)を除き全て本人のオリジナル。
★歯切れよく力強い硬質感や骨太さ、輪郭の鮮明度と、折り目正しくきめの細かいエレガンスや滑らかな潤いっぽさ、を併せ持つ、骨芯のしっかり据わった堅固で重みあるクリスタル風タッチのピアノが、時折自然に陰影もよぎらせながらコンテンポラリー・タイプの詩情溢れるリズミカル&ロマネスクなリリカル指向プレイを躍動感一杯に綴って、何とも清新かつダイナミック・グルーヴィーに爽やかな華を成し、ベース&ドラムの濃やかな気配りの利いた当意即妙の機動的サポートも、真っ当なるノリのよさとフェイント風のサスペンスを的確に醸成して頼もしい魅力を際立たせた、全般に極めてスッキリとした明快で清々しい正攻法演奏が続いて小気味よく胸躍らせてくれる好投内容。
★歌心=美しく親しみやすいメロディーの体現と、安定律動的な揺れノリ感=グルーヴの演出、を変らず第一義とした、概ね今日流ヨーロピアン抒情派ピアノ・トリオの正統らしい、香り豊かにして分かりやすく摑みもよしのアクティヴ・ポエティック快演が、適度な簡潔さをもって好テンポで溌溂と展開され、北欧ジャズならではのフォーキーな旅情漂う行き方があったり、浮遊感渦巻くスペイシーな迫真インタープレイ調があったり、当世型の半ダンサブルなファンク寄りビートに乗せたおおらか甘美路線もあったりと、按配よく起伏メリハリのつけられた風通しよさげでドラマティックな道程の中、ヴェストマン(p)の、一貫して癖なくさっぱりとよく歌う、至ってオーソドックスなマイルド風味のアドリブ妙技が実に晴れやかに冴え渡ってすこぶる快調だ。
→緊迫スリルを絡めながらしっとりと耽美的に哀愁浪漫を映すバラード表現や、ラーシュ・ヤンソンをもうちょいメインストリーム方向へ寄せた感じの軽快スウィート・フレージング、ハンコックやエヴァンスの成果を踏まえたわりかしストレートアヘッドな、しかしあくまで美旋律重視のダイナミズム攻勢など、文体は程好くヴァラエティーに富むが、ほぼ全体を通じて明るく朗らかでポジティヴな"開放感"ならびに"牧歌性"を基本身上とした、ごくシンプルで直球型のその唄いっぷり、=1ミリの迷いもブレもない人情味に満ちた弾鳴のあり様は、颯爽としていつつ殊の外ハートウォーミングで好感度も抜群。
1. Peace Please 2:35
2. Out For A Walk 4:59
3. Flying Kite 4:19
4. Turborelax 6:21
5. Moving Forward 5:21
6. Leaving Home 5:34
7. Siv och Gunne 4:07
8. Life Goes On 5:05
Simon Westman (piano) (celesta on 2)
Magnus Bergström (double bass)
Magnus Gran (drums) (hand drum on 6)
2022年5月17日-18日スウェーデン-ヨーテボリのSvenska Grammofonstudion録音
レーベル:
Prophone
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デジパック仕様CD