★また一段と熟味を増してきたエストニアの人気ヴェテラン・ピアニスト:トヌー・ナイソー(1951年旧ソ連・エストニアのタリン生まれ)の、鉄壁不動の緊密トリオによる快調な一編。
★ゴツンと石のように固く鋭角的キレのよさを呈した陰影にも富む骨太ソリッド・タッチのピアノが、オーソドックスなバップ・ピアノの言語マナーに則った硬質ダイナミック・アクションとアーシー・ブルージーな吟醸歌謡風の節回しを掛け合わせ、更にはモーダルな雄渾スケールの力学手法もしくはヨーロピアン・タイプのロマンティシズム描写なども適宜盛り込んで変化をつけ、トータルなアウトラインとしてはあくまで真っ当、あくまで正攻法の明快明瞭なるメロディック・スインギー・プレイを溌溂と紡ぎきって、何とも清々しく爽やかなスッキリとした華を成し、一方、重低音を弾力的にウネり躍らす分厚いベースや、安定律動と不穏な蠢きを同時に連鎖体現する遊撃力抜群のドラム、らの立ち働きもノリとスリルを的確に高めて頼もしい魅力を際立たせた、全体を通じとことん真っ向勝負な人情肌娯楽活劇風のアクティヴ・リリカル敢闘が続いて、胸のすくカタルシスを満喫させてくれる会心打内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り、伝統的ブルース・フィーリングやバップ・スピリットも自ずと潤沢に備わった、大衆派エンタテインメントのこれぞ鑑!たる抒情指向のハード・バップ快演、が嬉々として愉しげに、そして精悍に展開され、終始一貫晴れ晴れとしておおらかで風通しもよさそうな朗々驀進コースの中、Abner(ds)やRemmel(b)の手堅くも起爆力みなぎった中々アタッキングなサポートに上手くノセられ、触発されて、ナイソー(p)の、"吹き抜ける一陣の青嵐"の趣を湛えた直球のアドリブ奮戦が、ひたすらスカッと爽快に冴え渡ってゴキゲンだ。
→エヴァンスやハンコックの成果を踏まえた躍動型耽美ポエティック路線の王道を行く機略縦横の劇的マイルド節や、バップ・イディオムをストレートに活用したハード&スクエアーな殺陣風のダイナミズム攻勢、そしてレッド・ガーランド辺りに通じる軽涼な玉転がしっぽいブロック・コードを使った小粋で渋い寛ぎファンキー・フレージング、以上のようなアプローチを変らず柱として徹頭徹尾「ジャズ・ピアノの正統」の道を脇目もふらず真っ直ぐに突き進むその、美旋律の宝庫にして輪郭にもスタンスにも一切ブレるところのない確固とした弾鳴のあり様は、誠に風流で雅趣深く旨味満点、説得力も十二分。
1. Wouldn't It Be Loverly?
2. Naima
3. I Hear A Rhapsody
4. Lazy Day
5. Invitation
6. Sometime Ago
7. Doxy
8. These Foolish Things
9. That Old Feeling
Tõnu Naissoo (piano)
Taavo Remmel (bass)
Ahto Abner (drums)
2022年9月 録音
レーベル:
澤野工房
在庫有り
デジパック仕様CD
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